新しく発言する EXIT 「北へ。」
葉野香ちゃんのお話です



















  葉野香ちゃんのお話です 岡村啓太 2002/10/14 23:30:44 
  初めてのプレゼントそして初めての・・・ 岡村啓太 2002/10/14 23:33:55 
  <上からのつづき> 岡村啓太 2002/10/14 23:35:54 
  <上からのつづき> 岡村啓太 2002/10/14 23:37:53 
  <上からのつづき> 岡村啓太 2002/10/14 23:40:04 
  <上からのつづき> 岡村啓太 2002/10/14 23:42:58 
  <上からのつづき> 岡村啓太 2002/10/14 23:44:15 
  <上からのつづき> 岡村啓太 2002/10/14 23:44:57  (修正1回)
  あとがき 岡村啓太 2002/10/14 23:46:14 
  赤面ものです。(笑) 久保 真@ターニャ王朝後方支援部隊長 2002/10/16 22:59:24  (修正1回)
  │├ありゃ?何か忘れてました?(^^;)2002/10/16 23:48:08 
  ││└え〜と。 久保 真@ターニャ王朝後方支援部隊長 2002/10/17 01:59:57 
  ││ └掲載しました〜(^^)/2002/10/20 02:19:14 
  │└感想ありがとうございます 岡村啓太 2002/10/17 23:33:13  (修正1回)
  掲載しておきました〜(^^)/2002/10/17 00:05:22 
  │└感想&掲載ありがとうございます 岡村啓太 2002/10/17 23:38:44 
  読ませてもらいました。 和伊 啓太 2002/10/17 21:48:46 
  │└感想どうもです 岡村啓太 2002/10/17 23:45:53 
  拝読しました〜♪ ろっきゃん 2002/10/20 09:39:01 
  │└どうもありがとうございます 岡村啓太 2002/10/22 01:30:06 
  こっそりと・・・(笑) 長良川の鮎 2002/11/04 15:26:57 
   └感想どうもです 岡村啓太 2002/11/04 22:31:04 



















  葉野香ちゃんのお話です 岡村啓太 2002/10/14 23:30:44  ツリーに戻る

葉野香ちゃんのお話です 返事を書く ノートメニュー
岡村啓太 <vhhyhipvfj> 2002/10/14 23:30:44
どうも岡村啓太です。

この話はターニャのお話を書いている最中ふと思いついたものでして、
本当はターニャのお話が書き終わった後で書こうと思っていたものなんですが、
こっちの構成の方が先に出来あがってしまいましたので先に発表したいと思います。

内容は耕治くんと葉野香ちゃんのラブラブな話です。

それでは本編をどうぞ。



















  初めてのプレゼントそして初めての・・・ 岡村啓太 2002/10/14 23:33:55  ツリーに戻る

Re: 葉野香ちゃんのお話です 返事を書く ノートメニュー
岡村啓太 <vhhyhipvfj> 2002/10/14 23:33:55
初めてのプレゼント そして初めての・・・


ふぅー

「誕生日おめでとう、葉野香」

 あたしがケーキの上のロウソクの火を吹き消すと、耕治さんは拍手と共にあたしを祝ってくれた。

「あ、ありがとう耕治さん。でも誕生日を祝うなんて、たぶん・・・小学校以来だな」

 今日はあたしの誕生日だ。
 せっかくの誕生日だからということで耕治さんがわざわざ誕生会を開いてくれた。
 本当は誕生会なんて恥ずかしかったのだけれで、耕治さんと2人っきりで誕生日を祝うのも悪くないかなって思って承諾した。
 場所は耕治さんのマンション。
 今、あたしの目の前には耕治さんがいて、ケーキを挟んでお互いに座っている。
 それだけでも十分うれしかった。

「今日から葉野香もハタチか・・・。お前だけ先に成人しちまったな」

 4月産まれであるあたしは誰よりも早く成人を迎えた。
 だからといって別に何の感慨もなければ、うれしくもなかったけど。

「今日からは酒も飲めるし、タバコも吸い放題だな」

「あたしはタバコなんて吸わないよ、知ってるだろ。酒は二十歳になる前からもう飲んでたし・・・。耕治さんだって飲んでるだろ」

「ま、そうなんだけどな・・・」

「成人になったからって何も変ったりはしないさ」

「そうだな・・・。それよりも、はいこれ」

 耕治さんは小さな紙包みを手渡してくれた。

「これは?」

「誕生日プレゼントだよ」

「ええっ!!そんなのまで用意してくれてたの!?」

 まさかプレゼントまで貰えるなんて思ってもみなかった。
 でも考えてみれば誕生会にプレゼントは付き物なんだよな。

「あ、ありがとう・・・」

 受け取った包みは片手で持てるほど小さく軽いものだった。

「開けてみてよ」

「うん」

 袋を開けるとそこには小さな小箱が入っていた。

パカ

 開けてみると、
 そこには銀色に輝くわっかが・・・

(!!)

パタ

 驚きのあまり、あたしは慌ててはフタを閉じた。

(これは・・・もしかして・・・ひょっとすると・・・)

ドキドキドキドキ

 脳がその事実を認識した途端、心臓が鼓動を上げ始めた。
 それと同時に汗が顔や背中をつたう。

「ちょっと待って!まず落ち着いて!冷静に!!こ、こ、こ、これ、これ・・・」

 あたしは何故か耕治さんに向けてそんな意味不明なことを言っていた。

「僕は落ち着いてるよ。落ち着くのはお前の方だろ」

「そ、そうだね。お、お、落ち着くのはあ、あたしだよね」

「・・・まずは深呼吸でもしたらどうだ」

 耕治さんは呆れ顔でそう助言してきた。

「う、うん・・・。すぅー・・・はぁー・・・すぅー・・・はぁー・・・」

 何度か深呼吸を繰り返すと、少しだけ落ち着いてきたような気がした。

<つづく>



















  <上からのつづき> 岡村啓太 2002/10/14 23:35:54  ツリーに戻る

Re: 葉野香ちゃんのお話です 返事を書く ノートメニュー
岡村啓太 <vhhyhipvfj> 2002/10/14 23:35:54
<上からのつづき>

「よし!!落ち着いた」

「そうかぁ?」

 気合を入れてそう言ったら、何故か疑わしそうに見られた。

「で・・・やっぱりこれって・・・ゆ、指輪?」

 あたしはドキドキする心臓を抱えながらも今度はちゃんと聞けた。

「うん。そんな高いモノが買えなくって安物なんだけど・・・。悪いな」

「ううん。そんなこと・・・」

(や、や、やっぱり指輪だよぉ!!こ、こ、これってどういう意味?や、やっぱりそういうこと?)

 あたしは頭の中でパニックを起こしながらも、もう1度フタを開けてみた。
 そこにはやはり銀色に輝く指輪が鎮座している。

「あ、ありがとう・・・。うれしいよ、ホントに・・・な、何て言っていいのか分からなくなるぐらい・・・」

 そして何とかお礼を言葉らしきものを口からつむぎ出した。

「そっか。よかったぁ・・・。気に入らなかったらどうしようかって思ってたんだ」

 見ると耕治さんは安堵と歓喜の混じった表情を浮かべている。

「耕治さんがくれるものなら、何だってうれしいよ。それが・・・まさか指輪だなんて・・・」

 あたしは指輪を摘むと箱から取り出した。

「で、でもこれってどういう意味?や、やっぱりそういう意味にとっていいのかな?」

 あたしは真っ赤になりながらも勇気を振り絞って一番肝心な、そして一番聞きたかった質問をした。

「えっ?・・・あっ!い、いや、その・・・。べ、べつにそこまで深い意味はないんだよ。ホント軽く受け取ってよ」

 すると、最初はあたしが何を言っているか分からなかったようだけど、
 すぐに何の事だか分かったらしく、慌てて否定してきた。

「そっか・・・」

 あたしはそれを聞くと指輪に目を落とした。
 たしかに、プレゼントされる指輪がいつもそういう意味のモノって訳じゃないよね。
 少しホッとしたけど・・・同時に残念な気持ちもあった。

「その時の指輪はもっと高いのにするからさ・・・」

 そんなあたしの耳に耕治さんに呟きが飛び込んできた。

「えっ!?」

 慌てて顔を上げて見ると、耕治さんは赤い顔をしながらそっぽを向いていた。
 そんな照れくさそうな態度でもうれしくて・・・胸に熱いものが込み上げてきた。

「ありがとう」

 でもそれしか言えなくて。
 涙がこぼれないように精一杯我慢して、
 そして何より、うれしかった。

<つづく>



















  <上からのつづき> 岡村啓太 2002/10/14 23:37:53  ツリーに戻る

Re: 葉野香ちゃんのお話です 返事を書く ノートメニュー
岡村啓太 <vhhyhipvfj> 2002/10/14 23:37:53
<上からのつづき>

「そ、そんなことより着けてみてくれないか。それとも僕が着けてあげようか?」

 あたしは耕治さんに指輪をはめてもらっている自分の姿を想像してみた。

ボッ

 と、顔から火がでそうなほど恥ずかしい光景だった。

「い、いいよ。自分で着けるから」

 あたしは指輪を右手に持つと左手の指に近づけていった。
 緊張のためか少し手が震える。
 そして何故か指輪は薬指に向かおうとしていた。

(ちょっと待て!!そこは違うだろ!!)

 自分で自分につっこみを入れながら軌道修正をして中指に指輪を通した。
 すると、ぴったりとはまった。
 
「あ、ぴったりだ・・・」

 手をかざして指輪を見てみた。
 指にはまっているのを見ているだけでうれしくなってくる。

「ふぅ・・・よかったぁ・・・。サイズが間違ってたら、どうしようかとドキドキしてたんだ・・・」

 見ると、耕治さんが大きく安堵の溜息をついていた。

「大丈夫だよ、ぴったりだからさ。でもよくあたしの指のサイズが分かったね?」

「あっ、それは、まぁ・・・企業秘密ってやつで・・・」

 何時計ったのかは非常に気になったけど、聞かないでおいてあげた。

「何か・・・お礼しなきゃな・・・」

「そんな、お礼なんていいよ。誕生日プレゼントなんだから・・・」

 あたしがそう言うと耕治さんは照れくさそうに断ってきた。
 けれどもそれではあたしの気はおさまらない。
 でも凝ったモノだと受け取ってはくれないだろうし・・・。

「う〜ん・・・。そうだ!今日の夕飯はあたしが作ってあげるよ。それならいいだろ」

「うん。それなら大歓迎」

「じゃ、さっそく買い物行こ。どうせ冷蔵庫には何にも入ってないんだろ」

「確かに何も入ってないけど・・・。でもケーキ食べてからにしないか?そんなに急ぐ事でもないだろ」

「そうだね・・・」

 あたしは気持ちが早っていたのか、ケーキのことをすっかり忘れていた。



 あたしたちはケーキを食べ終えてから少し談笑した後、近くのスーパーまで買い物に出た。
 あたしが食材を選んでいる間、耕治さんはカートを押してあたしの後をついて来ている。
 そしてふと思った。
 何だかこうしているとまるで夫婦のようだ・・・。

(って、何考えてるんだよ、あたしは)

 あたしは今考えた事を振り払いながらネギをカゴの中に放り込んだ。

「葉野香」

 すると耕治さんが話し掛けてきた。

「何?」

「こうしてると・・・なんだか夫婦みたいだな」

(!!)

 なんと耕治も同じことを考えていた。
 そのことはとってもうれしかったのだけれど・・・。

「バカ!何言ってるんだよ!ほら、今度はあっちへ行くよ」

 あたしは照れくさくて、ぶっきらぼうにそう言ってしまった。
 それに顔も赤くなっているだろうから見られたくなかったし。
 だけど、なかなか素直になれない自分がちょっと嫌だった。

<つづく>



















  <上からのつづき> 岡村啓太 2002/10/14 23:40:04  ツリーに戻る

Re: 葉野香ちゃんのお話です 返事を書く ノートメニュー
岡村啓太 <vhhyhipvfj> 2002/10/14 23:40:04
<上からのつづき>

 スーパーからの帰り道、あたしたちはそれぞれ片手に荷物を持ちながら並んで歩いていた。
 なんとなく耕治さんの表情が暗いように思える。
 さっき邪険にしてしまったからだろうか。
 指輪をしている左手がなんだか冷たく感じる。
 見ると耕治さんの右手が開いている。
 普段なら恥ずかしくてこんなことは絶対にしないんだけど。
 あたしは耕治さんの右手を握った。

「葉野香!?」

「なんだよ・・・」

 あたしは赤くなっているだろう顔を微妙にそらしながら、やはりぶっきらぼうに答えた。

「・・・ううん。なんでもないよ」

 そう言うと耕治さんはあたしの手を少しだけ強く握り返してきた。
 そしてあたしたちは手を繋いだまま部屋まで帰った。



ぐつぐつぐつ

 今、あたしたちの前にはよく煮えた鍋が1つ置かれている。

「なぁ、葉野香。何でこの時期に鍋なんだ?」

「えっ!?水炊き嫌いだった?」

「いや、嫌いじゃないけど・・・」

「じゃあいいだろ。水炊きは安くて早くてヘルシーなんだから」

「まあな・・・。じゃ、いただきます」

「いただきます」

 こうして食事を始めて少しすると、

「葉野香って料理うまいな、エプロンも似合ってるし」

 突然こんなことを言われた。

「えっ!?」

 ちなみに今のあたしの格好は髪を邪魔にならないようにゴムで縛って後ろで一本にしてエプロンをしている。

「エ、エプロンと料理は関係ないだろ」

「そうでもないと思うぞ、やっぱり料理のうまい人はエプロンが似合ってるぞ」

「そ、そうか・・・」

 こんな風に鍋を挟みながらのたわいのない雑談。
 湯気の向こうでは耕治さんがうまいと言いながら笑顔であたしの作ったごはんを食べてくれている。
 それを見ていると何か胸にぐっとくるものがある。
 まるで一緒に暮らしているんじゃないかと錯覚しそうだ。
 こんな日常がずっと続けばいいのに・・・。

「帰りたくないな・・・」

 ふと、あたしの口からこんな言葉がこぼれた。

「・・・だったら、泊まっていくか?」

「えっ!?」

 その言葉に我に返ったあたしは耕治さんを見た。
 すると耕治さんは恥ずかしそうにあたしから目をそらした。
 そこであたしは自分が何を言ったのか理解した。

(えぇーー!!と、泊まるって・・・。え、えっ、そんな、ホントに、そんな・・・)

 あたしがパニックを起こして黙っていると、耕治さんは不安そうな目であたしを見てきた。

ぐつぐつぐつ

 部屋には鍋に煮える音だけが響き、嫌な雰囲気が漂い出した。

(ま、まずい・・・。な、何か言わないと・・・)

 そんな雰囲気に堪えられなくなったあたしは

「うん・・・」

 と、一言だけ言って頷いた。
 しかしその後

(何で頷いてるんだ、あたしぁーー!!!)

 と、心の中で頭を抱えながら絶叫していた。

<つづく>



















  <上からのつづき> 岡村啓太 2002/10/14 23:42:58  ツリーに戻る

Re: 葉野香ちゃんのお話です 返事を書く ノートメニュー
岡村啓太 <vhhyhipvfj> 2002/10/14 23:42:58
<上からのつづき>

 そして今あたしは
 風呂に入っている。
 しかも入念に身体を洗っている最中だ。

(な、何でこんなに入念に洗ってんだ!?)

 どうも身体と心のバランスがうまく取れなくなっているらしい。
 何で風呂に入る流れになっているのかも良く憶えてはいないし・・・。
 ただ、

 「だ、だからって変なことしたら容赦しないからな!!」

 と、釘をさしておいたことは憶えている。
 それから

 (兄貴は出ませように!!)

 と、強く念じながら家に電話して、
 そしたら運良く清美さんが出てくれて、
 何て説明したのかは実は良く憶えていないんだけど、

 『お、お泊りするの!?きゃーー!!そうなの!うんうん、分かったわ。あの人にはうまく言っとくから。がんばってね葉野香ちゃん』

 と、応援された事も憶えてる。

(でも、どうしよう・・・)

 不安な心とは裏腹に身体は勝手に磨き上げられていった。



 悩んでいる間に意外に長風呂になってしまい、茹るかと思った。
 脱衣所に出ると、耕治さんのパジャマが置いてある。
 寝巻きは借りられたけど、下着はそのままだ。

(もっと可愛いの着けてくればよかった・・・。って何でだよ!!べ、べつに見せるわけじゃないだろう・・・)

 そんなことを考えながらパジャマを取り上げると、なんだかパジャマに耕治さんの臭いが残っているような気がした。
 思わず鼻を押し付けて臭いを嗅いでみる。

(って、あたしは変態かぁーー!!)

 いいかげん自分につっこむのも疲れてきた。

「ふぅ・・・」

 あたしは溜息を1つつくと、パジャマに袖を通した。
 しかし不覚にも何だか耕治さんに包まれているような気がした頬を赤く染めてしまった。



「お風呂、ありがと。いい湯だったよ」

 頬の火照りを冷ましてから出ると、何故か耕治さんは呆けた表情であたしを見た。

「何か変か?やっぱりこのパジャマ大きかったかな?」

 たしかに耕治さんのパジャマは少し大きかったけど、そんなに変ではなかったと思うけど。

「いや、そんなことない。けっこう似合ってる」

「そうか。それじゃあ・・・。頭のタオルがおかしいのか。しょうがないだろ髪が長いんだから・・・」

 あたしは髪の水分を取るため頭にタオルを巻いていたから、それがおかしかったのかな?

「ううん。そうじゃなくて・・・」

「じゃあなに?」

「その・・・なんだ・・・。風呂あがりの葉野香が色っぽかったっていうか、何というか・・・」

 それを聞いた瞬間、あたしはさっき冷ました頬がまた熱くなるが分かった。

「バ、バカ!!何言ってんだよ!!そんなこと言ってないでお前も風呂に入ってこい!!」

 あたしは照れ隠しに大声をあげると、耕治さんを風呂場に追いたてた。

<つづく>



















  <上からのつづき> 岡村啓太 2002/10/14 23:44:15  ツリーに戻る

Re: 葉野香ちゃんのお話です 返事を書く ノートメニュー
岡村啓太 <vhhyhipvfj> 2002/10/14 23:44:15
<上からのつづき>

 あたしは耕治さんが風呂場に入るのを確認すると、髪を乾かすためドライヤーを借りた。
 長い髪というのは洗うのもそうだが、乾かすのが1番面倒だ。
 1度耕治さんに軽い感じで

 「切ってみようかな?」

 って言ったら、すごく嫌そうな顔をして止められたけど。
 ターニャに同じような事を言った時も

 「もったいないです!せっかくそんなキレイな髪なのに。私ははやかの長い黒髪が大好きなんです」

 って、やっぱり止められたもんな。
 あたしはターニャの金髪の方がずっとキレイでと思うけど。
 ま、あたしだってこの髪は気に入ってるから切る気はないけどね。
 面倒なのもしょうがない。



ガチャ

 風呂場の扉が開き、耕治さんが出てくる。

ドキッ

 途端、あたしの心臓は跳ねあがった。

ドキドキドキ

 そしてうるさいぐらいに騒ぎ出す。

(ちょっと、落ち着いてよ。緊張しちゃうじゃない)

 と、自分に言い聞かせるのだが心臓は落ち着いてはくれない。

「お、お待たせ・・・」

 何故か耕治さんの表情も堅い。

「う、うん・・・」

 あたしの方もそれしか言えない。

「何か飲むか?」

「うん・・・」

 耕治さんは冷蔵庫から缶ジュースを取り出すと差し出してくれた。

「はい」

「ありがと」

 その時、指と指が触れ合ってしまった。

(!)

 あたしは思わず引っ込めてしまった。

ゴン

 行き場を失った缶はそのまま床に落下した。

「あっ、ごめん・・・」

 あたしは慌てて拾い上げたのだけれど。
 嫌は空気は残ってしまった。
 あたしは耕治さんの顔がまともに見れず、うつむいてしまう。

(どうしよう。きっと変に思われた。怒ったかな。もしかしたら嫌われたかも)

 そんな思いがよぎって悲しくなってきた。

「葉野香」

 ビクッ

 名前を呼ばれただけなのに身体が震えてしまう。
 何を言われるのか。
 緊張で身体が堅くなってくる。
 しかし
 耕治さんは何も言わず、くしゃくしゃと少し乱暴に頭を撫でてきた。

(えっ!?)

 驚いて顔を上げると、耕治さんは少し寂しそうな顔であたしを見ていた。

「葉野香、そんなに脅えないでくれ。今日はホントに何もしないからさ。ただ葉野香と一緒にいたい、それだけなんだから」

「耕治さん・・・」

「だからそんな悲しそうな顔しないでくれ。僕にはその事の方が辛いから」

「うん・・・」

 不意に涙がこぼれてきた。
 あたしたちはお互い側にいたかっただけなのだ。
 それが分かって、安心して、張り詰めていたものが緩んだせいだろう。

「ほら、泣くなよ」

 そして耕治さんは少し乱暴に指で涙をぬぐってくれた。

<つづく>



















  <上からのつづき> 岡村啓太 2002/10/14 23:44:57  (修正1回) ツリーに戻る

Re: 葉野香ちゃんのお話です 返事を書く ノートメニュー
岡村啓太 <vhhyhipvfj> 2002/10/14 23:44:57 ** この記事は1回修正されてます
<上からのつづき>

 その後は2人ともいつもどおりのリラックスした雰囲気ですごせたのだけれど、
 布団を並べて寝る段階で緊張するな、というのは無理な話だろう。

「じゃあ、お休み」

「うん、お休み・・・」

 部屋の明かりが消される。
 それと同時にあたりがシンと静まったような気がする。
 しかし、あたしの耳には自分の心臓の鼓動がうるさいぐらいに響いていた。
 1度寝返りをしたら、その音が思いの他大きく聞こえ、耕治さんを起こしてしまいそうで動けなくなってしまった。

(どうしよう・・・)

 あたしがそんな風に思っていると、

「葉野香、眠れないのか」

 耕治さんから声がかかった。
 耕治さんも眠れないのだろうか。

「うん・・・」

「やっぱり僕は別のところで寝ようか?」

「それはダメ」

 耕治さんにそこまで気を使わせるわけにはいかない。
 それに別々に寝るのはやっぱり寂しい。

「でも・・・」

 でも耕治さんは納得していないようだ。
 あたしは悩んだ末、勇気を出して言ってみることにした。

「ねぇ、耕治さん・・・。手、握って」

 何故そう思ったのかは分からない。
 ただ、そうすれば眠れるような気がしたから。
 もしかしたら耕治さんのぬくもりを感じたかっただけなのかもしれないけど。

「えっ!?」

 耕治さんは小さく驚きの声をあげた。
 そしてしばらくした後、あたしの手に耕治さんの手が触れてきた。
 あたしはそっとその手を握る。

「耕治さんの手・・・あったかいね」

「葉野香の手もあたたかいよ」

 手から耕治さんのぬくもりと気持ちが伝わってきて、不思議と心が落ち着いてきた。
 そしてあたしはそのぬくもりを感じながら何時の間にか眠りについていた。



 目が覚めると、見なれない天井が見えた。

「うぅーん・・・」

 寝ぼけた頭で寝返りを打つと、

(!!)

 いきなり耕治さんの寝顔が見えて驚いた。
 
(そうだ・・・。昨日は耕治さんの家に泊まったんだった・・・)

 そう思うと、なんだか急に恥ずかしくなってきた。
 頬が勝手に火照ってくる。
 そしてしばらく耕治さんの寝顔を眺めた。

(なんだか可愛い寝顔だな・・・。
耕治さんが起きたらどんな顔するだろう。
きっとお互い照れた顔で微笑み合うんだろうな)

 そして、ふと手が何も掴んではいないことに気がついた。
 どうやら寝ている間に手は離れてしまったらしく、それが少し残念だった。
 そんなことを考えてから、あたしは耕治さんのために朝食を作るため布団から抜け出した。

(朝ご飯、よろこんでくれるといいな)


<おしまい>



















  あとがき 岡村啓太 2002/10/14 23:46:14  ツリーに戻る

Re: 葉野香ちゃんのお話です 返事を書く ノートメニュー
岡村啓太 <vhhyhipvfj> 2002/10/14 23:46:14
あとがき

と、いうわけで壊れ気味な葉野香ちゃんのお話でした。

ちなみにタイトルの‘初めての・・・’の‘・・・’部分は‘お泊り’です。

さて、おそらく私が今まで書いてきたお話の中で最も恥ずかしい話だったと思いますが、どうだったでしょうか?

しかし今時こんな純なカップルは天然記念物ものでしょうね。
でも私は葉野香ちゃんはけっこう純情な女の子だと思っているんですけど、皆さんはどうでしょうか?

それでは最後までお付き合い頂いてありがとうございました。
岡村啓太でした。



















  赤面ものです。(笑) 久保 真@ターニャ王朝後方支援部隊長 2002/10/16 22:59:24  (修正1回) ツリーに戻る

Re: 葉野香ちゃんのお話です 返事を書く ノートメニュー
久保 真@ターニャ王朝後方支援部隊長 <ljjolcpwmr> 2002/10/16 22:59:24 ** この記事は1回修正されてます
赤面ものです。(笑)

今日は!!久保 真です。(^-^)
おや?ターニャの話かと思ったらは〜やんでしたか。
さてさて、SSについてですが、ふむ・・・ラヴラヴですな。(笑)
ただふたりの会話を聞いてますと、この前の作品から結構時間が経って
いるのかな?
いやね、主人公のは〜やんへの語り掛けが結構ラフになってるようなの
で。
それと!!
え〜!!?ふたりとも未成年で酒飲んでたのっ!!?
これは、意外だな〜
このふたり、あくまでゲームをベースにしてるなら、それはないと思う
んだけど・・・どうでしょうか?

う〜ん・・・ラブストーリー・・・わたしも挑戦してみようかな?
まぁ時間があれば、だけど。(汗)
それでは!!
久保 真でした。(^-^)

PS
実は、わたしの書いた葉野香と主人公のラブストーリー、存在するので
すよ。
SSコーナーには、載ってませんが、BBS過去ログの何処かにひっそ
りそれなりの規模で載ってます。
てか、掲載を雄さんにお願いしたんだけど、忘れてるみたい。(^^;

PS2
過去ログP1の始めのツリーにわたしの『落書き』があります。
興味がありましたら見てみてね。(笑)



















  │├ありゃ?何か忘れてました?(^^;)2002/10/16 23:48:08  ツリーに戻る

Re: 赤面ものです。(笑) 返事を書く ノートメニュー
<okxykqpyon> 2002/10/16 23:48:08
ありゃ? 何か忘れてました?(^^;)

久保 真さんのSSは、全て頼まれたぶんは載せたはず、と
思ってましたけど、どれか、漏れてるのありました?
えーと、よく覚えてないので(ぉ)、過去ログ何ページのどれか、
もう一度教えてください。
改めて、掲載作業を行っておきますです(^^;)

でわ〜( ̄▽ ̄)ノ



















  ││└え〜と。 久保 真@ターニャ王朝後方支援部隊長 2002/10/17 01:59:57  ツリーに戻る

Re: ありゃ?何か忘れてました?(^^;) 返事を書く ノートメニュー
久保 真@ターニャ王朝後方支援部隊長 <ljjolcpwmr> 2002/10/17 01:59:57
え〜と。

どもども、久保 真です。(^-^)
え〜と、P22にある高嶋ぽんずさんの立てた妄想アンケツリーにある
わたしの作品の掲載をお願いしていました。
忘れてたなんて・・・ヒドイ!!よよよ・・・(T-T)(笑)

それと。
当HP建立一周年、まことにおめでてうこざいます!!(^-^)
今後ともおつき合いのほど宜しくお願い致しますね。(^o^)/

それでは!!
久保 真でした!!(^-^)



















  ││ └掲載しました〜(^^)/2002/10/20 02:19:14  ツリーに戻る

Re: え〜と。 返事を書く ノートメニュー
<okxykqpyon> 2002/10/20 02:19:14
掲載しました〜(^^)/

いやいや、忘れててすみませんでした。
SSコーナーに、ちゃんと掲載させていただきましたので、
ご確認くださいませませ。

それでは、これからも、よろしくお願いしますね〜。

でわ(^^)/



















  │└感想ありがとうございます 岡村啓太 2002/10/17 23:33:13  (修正1回) ツリーに戻る

Re: 赤面ものです。(笑) 返事を書く ノートメニュー
岡村啓太 <vhhyhipvfj> 2002/10/17 23:33:13 ** この記事は1回修正されてます
感想ありがとうございます

ターニャのお話からはだいたい1年後という設定です。
1年もずっと側でつきあっていてこの程度の進展?
という疑問も持たれるかもしれませんが、
このお話を考えついた時には葉野香ちゃんが4月生まれだとは知らなかったのです。

飲酒の件ですが、たしかにゲームをベースにするなら飲んでない方がいいかもしれませんが、
大学生なのだから飲んでる方が自然かなって思ったもので。

それから葉野香と主人公のラブストーリー読ませてもらいました。
2人の日常的なデート風景が良く出ていておもしろかったです。最後はラブラブでしたし。
そういえば私はまだキスシーンは書いたことがありませんね。
これだけ恥ずかしい話を書いていても、やっぱりキスシーンは照れるんですね。それに私は結構キスは重要なものと考えていますし。



















  掲載しておきました〜(^^)/2002/10/17 00:05:22  ツリーに戻る

Re: 葉野香ちゃんのお話です 返事を書く ノートメニュー
<okxykqpyon> 2002/10/17 00:05:22
掲載しておきました〜(^^)/

岡村啓太さん、どもども。
今回のSSも、掲載しておきました。

今回は、ちと壊れぎみの葉野香ちゃんですね。
やはり葉野香ちゃんは、とても動かしやすく、面白いキャラだなぁ、
なんて、勝手に思ってしまいました(笑)
でも、こういった壊れ方を本当にしそうなくらいに純粋で
可愛い女の子でもあるんだなぁ、なんて、納得もしていたり(笑)

今回も、なかなか面白かったです〜。

ターニャ編の方も、頑張って仕上げてくださいね〜。

ではでは(^^)/



















  │└感想&掲載ありがとうございます 岡村啓太 2002/10/17 23:38:44  ツリーに戻る

Re: 掲載しておきました〜(^^)/ 返事を書く ノートメニュー
岡村啓太 <vhhyhipvfj> 2002/10/17 23:38:44
感想&掲載ありがとうございます

実はこれまで葉野香ちゃんは私にとっては意外に書きづらいキャラだったのですが、
このお話を書いて、だいたい掴むことが出来ました。

ターニャのお話をがんばらねば。
それではまた。



















  読ませてもらいました。 和伊 啓太 2002/10/17 21:48:46  ツリーに戻る

Re: 葉野香ちゃんのお話です 返事を書く ノートメニュー
和伊 啓太 <vyrwuyocpg> 2002/10/17 21:48:46
読ませてもらいました。

ふと、思ったんですが、
葉野香ちゃんがお風呂場で湯当たりを起こしてしまったら、
耕治くんは一体どうしたのでしょうか?
冗談は置いといて、
いやぁ、赤面モノのストーリーですね(笑
個人的には葉野香ちゃんは、
北へ。の中で一番恥ずかしがりやだと思ってます。
そんな葉野香ちゃんのストーリー、楽しく読ませてもらいました。



















  │└感想どうもです 岡村啓太 2002/10/17 23:45:53  ツリーに戻る

Re: 読ませてもらいました。 返事を書く ノートメニュー
岡村啓太 <vhhyhipvfj> 2002/10/17 23:45:53
感想どうもです

ホントにどうなっていたでしょうね?
気がついた時の葉野香ちゃんの反応もおもしろそうだ。

後、2人がいい雰囲気になった時に達也が部屋に飛び込んでくるという案とかもあったのですが、そちらは没にしましたね。

後、耕治くんの視点で書いてもまた違ったストーリーでおもしろかったかも(書く気はありませんが)。



















  拝読しました〜♪ ろっきゃん 2002/10/20 09:39:01  ツリーに戻る

Re: 葉野香ちゃんのお話です 返事を書く ノートメニュー
ろっきゃん <fnoukdyhwi> 2002/10/20 09:39:01
拝読しました〜♪

うーん、幸せ一直線って感じですね。この調子だと
卒業まで結婚待ちきれなくなっちゃうかも。
はーやんのテレテレぶりがよく出ていて楽しく読ませて
いただきました。
僕が耕治なら、肩を抱くまではしちゃうかな
(手を握ってるだけでとても眠れる自信はないです(^^;))
ターニャも早く幸せになれますよう願っております。
では岡村啓太さん、
毎度ありがとうございました〜(^^)/



















  │└どうもありがとうございます 岡村啓太 2002/10/22 01:30:06  ツリーに戻る

Re: 拝読しました〜♪ 返事を書く ノートメニュー
岡村啓太 <vhhyhipvfj> 2002/10/22 01:30:06
どうもありがとうございます

楽しんで頂けたようで幸いです。

ちなみに手を握るまでにとどめたのは、
それ以上いくと耕治くんの忍耐がもたなくなると思ったからです。

さて、ターニャのお話もがんばって書かねばならないのですが・・・。
考えれば考えるほど難しくなってゆくんですよねぇ・・・。
現在、頭の中で試行錯誤を繰り返しながら、内容が2転3転している状態です。
ですから気長にお待ち下さい。



















  こっそりと・・・(笑) 長良川の鮎 2002/11/04 15:26:57  ツリーに戻る

Re: 葉野香ちゃんのお話です 返事を書く ノートメニュー
長良川の鮎 <guhftnjywu> 2002/11/04 15:26:57
こっそりと・・・(笑)

どうも〜ご無沙汰(笑)しております、長良川の鮎です。
ラブラブな話、相変わらず苦手(ウソ)ですが、読ませて
頂きました。

頭の中で漫画のように一コマ一コマの情景でなく、アニメの
ように流れて動いている姿が捉えられましたね、とくに部屋の
シーンなどは・・。鍋の中の情景まで想像出来ちゃった(笑)。

しかし・・なんだか・・微妙であるが・・『女心(おんなごころ)』
がこう・・・・違うなという感覚を覚えるのは何故だろう?

陽子「女心がわかるのかい?」

はははっ(汗)!自分は男ですから・・・(汗)!
耕治くんの男心(?)ならよくわかります・・。



















   └感想どうもです 岡村啓太 2002/11/04 22:31:04  ツリーに戻る

Re: こっそりと・・・(笑) 返事を書く ノートメニュー
岡村啓太 <vhhyhipvfj> 2002/11/04 22:31:04
感想どうもです

アニメの様に情景が浮かびましたか。
ところで、部屋の情景は洋間が浮かびましたか、それとも和室でしたか?
本編ではわざとどちらかというのは書きませんから、どうとってもらってもいいのですけど。
ちなみに私はこたつで囲んでいる図が浮かびましたね。

私にも女心は分かりませんからね。
そのあたりは、まぁ・・・あまり気にしないでおいてくださいな。


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