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私は、40年以上船乗りとして生きてきたが、未だ、この世界をおぼろげにしか理解できていない。 町や村で生活している者は、なおさらだろう。 自分の身の周りのこのだけに興味を持ち、生きていくのは、多くの場合、安全だし幸福だ。 好奇心の強い者は、危険に陥りやすいからだ。 しかし、私は遭難の末に偶然拾った残りの人生を、この費えぬ好奇心に使おうと思いたった。 大それたことだが、このヴァナ・ディール世界の形を、知りたくなったのだ。 私はその記念すべき第一歩の足跡を、愛する故郷バストゥークを一望できる丘に残すことにした。 いつの日か、多くの人々に役立つ筈、との使命感とゆるぎなき決意を胸に秘めつつ、ここに記す。 |
(K-10) |
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この丘の頂に、共和国に空前の繁栄をもたらしたパルブロ鉱山の開拓者達を称え、モニュメント を建てる計画があるらしい。 私が訪れた時、丁度その磁石が作られていた。 磁石の周囲は、元は墓場だったらしく、風化して銘すら読めぬ墓石が点在していた。 妙に気になり、民間史書を紐解いてみたところ、その墓について興味深い事実が分かった。 これらは、まだ共和国が貧困にあえいでいた頃、最初の砦、つまり現在の大工房が落成した日に、 原因不明の爆発事故で命を落とした、多数の名も無きガルカ技術者たちの墓だったのだ。 世に喧伝される如く、パルブロ鉱山の開拓者が大望を成し遂げた英雄かどうかは分からない。 だが、ここに眠る者達が、荒涼たる大地を開き、そして骨を埋めた、真の漢だったことは確かだ。 私は、この名も無き英雄たちに思いをはせながら、ここで一晩飲み明かすことにした。 |
(G-7) |
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ここにはオーディン風と云う強風がいつも吹き荒れている。 いつ頃からか、この風に目をつけたバストゥーク職人が、ここに風車を建てるようになった。 目的は明解。粉挽きだ。 イモ類の他にたいした作物の育たないバストゥークにとって、サンドリアから輸入される小麦は 生命線だった。 一方、サンドリアも大量に産する小麦の買い手として、また、安価に小麦粉に加工してくれる 粉挽きとして、バストゥークに依存していた。 その両者の依存関係の象徴が、この風車群なのだ。 面白いのは、睨み合っている軍勢を尻目に、戦闘の最中も、その取引は行われ続けていたことだ。 それを知った両軍の指揮官はかんかんに怒ったが、彼らでさえ、パンを食べるのだけはやめなか った。商人に乾杯! |
(G-7) |
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ここロンフォールの森は、代々エルヴァーン王族の狩りの場として、丁重に保護されてきた美しい 森だ。勇壮で知られる秋の狩猟大会を見物しに、私はわざわざ訪れたのだが、残念ながら荘厳な儀 式ばかりが延々と続き、実につまらないものであった。 その原因の一端は、狩りの獲物にありそうだ。 本来獲物であった筈のお雉や鹿は、姿を消して久しい。その代わりに、大羊が獲物として放たれて いるのだ。 予定された獲物。これでは狩りの醍醐味も薄れて当然。 大食漢で悪食の大羊が、下草や根を食べ尽くして生態系を崩し、この美しい森が損なわれないこと を願いつつ、ここに記す。 |
(G-11) |
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昼なお暗い鬱蒼としたジャグナー森林を横断中、突然、食いしん坊な私の愛鳥モルテンが地面を突 き始め、あるキノコを掘り当てた。いやがるモルテンをなだめながら、キノコを取り上げてよく見 ると、なんとそれは伝説の食材『キングトリュフ』だった。モルテンの臭覚を頼りに辺りを探して みると、他にもあるわあるわ。 様々なキノコを発見することができた。 今夜は美味しいキノコ鍋にありつけることだろう。 いつの日か、森に迷いこみ、腹をすかせた旅人よ。森の恵みを探したまえ。 さすれば、汝は救われよう。 ただし、先に汝のチョコボに食べられぬよう、くれぐれも御用心。 |
(H-12) |
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暖かいガルーダ風が吹く、この地では、ロランベリーという果実が、広大な果樹園で栽培されて いる。爽やかな甘味とぴりりとした刺激的な酸味が下に残る独特の味だが、食後の清涼感もあっ て、ガルカ族以外の多くの人々に愛されている。 その魅力たるや、肉食中心の獣人ですら惹きつけ、最近ではゴブリンの夜盗やヤグードの窃盗団 と戦うため、どの畑でも果実衛兵が雇われ、巡回警備している有様だ。 中でも、価値のあるのは、蟲が貯蓄した果実だ。 彼らは保存のために特殊な唾液を注入する。ロランベリーは腐らなくなり、酸味だけが増すのだ。 その強烈な刺激が、マニアにはたまらないらしい。この果実収穫と海運で莫大な財を成したジュ ノ村は今、都市国家へと急速に変貌しつつあるようだ。 |
(K-11) |
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ここには無数の塚山がある。 伝説によると、我らの先祖が女神によって創られ、最初に降り立った地が、ここなのだそうだ。 はるか昔から、死期が近づいたエルヴァーン族は、この地を訪れて最期の時を待った。 女神に近づきたい一心で、無数の他族の巡礼者も、長旅の末に、この地で果てた。 厚い信仰心は美徳だ。無欲も賞賛に値する。 しかし、私はあえて言おう。先ず自分の生を楽しもう。 他の生を尊重しよう。信仰は、その次でも悪くはない。 そう、ガルカの友人にも言ったら、笑われた。 人生短き者は、考える暇も無いから、それもよかろう。 しかし、長く感ずる者には、色々ある。 迷いもまた多いのだ、と。 それもまた真なり、だ。 |
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この地を訪れたのは、実に10年ぶりだったが、はるか北方に住んでいた筈のオーク族の戦士を あちこちで目撃し、驚いた。 王国の膝元たるこの森ですら、しばしば見かけたが、誇り高きエルヴァーン族の騎士諸君は、 彼らを下等種族と見下し、歯牙にもかけていないようだ。 私は予言しよう。そう遠くない将来、彼らオーク族は、数万、否、数十万の軍勢を率いて、この 美しき王国に流れ込んでくるであろう。 願わくば、心ある者が立ち上がり、この予言を老人の戯言としてくれることを願い、ここに記す。 |
(I-10) |
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風光明媚だが生命にとっては過酷な環境であることを、這いつくばる草が物語っている。 船を拒む遠浅の海。果てなく続く砂、砂、砂・・・。 海水浴以外、利用価値は無さそうな場所だった。 しかし、遊泳中に足がつった少女を助けたところ、その御礼にと、彼女はある驚くべき場所へと 導いてくれた。 イルカを見せるために彼女が案内してくれたのは、天然の良港として最適の小さな入り江だった のだ。結局イルカは現れなかったが、船乗りだった私にとっては、それ以上に大きな収穫だった。 私は、この入り江に『セルビナ』と名づけた。 自分の名前が地図に記されると、少女は無邪気に手をたたいて喜んだ。 |
(E-9) |
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この沼地には、クゥダフ族と呼ばれる凶暴な獣人が住み着き、縄張りとして久しい。 多くの命知らずの輩が、この地で行方不明となっていた。 しかし、完璧な地図を目指す私の中では、リスクよりも、広大な沼沢地帯を空白のままにしてしま う無念さの方が明らかに勝っていた。 調査中うっかり火を使ってしまい、私はたちまちクゥダフ族に捕まってしまった。 そのまま、彼らの村へと連行された私は、建物が金属で出来ていることに仰天した。 かつてタルタル族の恐るべき力だった炎の魔法を、今や、我々が煙草の火をつけるのに使うように、 蛮族だと思っていた彼らも、バストゥークの高度な冶金技術を密かに自分のものにしていたのだ。 計画を全部打ち明けると、彼らは以外にも感激して解放してくれ、率先して沼を案内さえしてくれた。 |
(F-6) |
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この高原で目を引くものと云えば、やはり現地の者が『ホラの岩』と呼び、近づくことすら恐れる 巨大な建造物だろう。 あえて建造物と云ったのは他でもない。 これは奇跡的な偶然が生んだ天然岩でもなければ、神学者が唱えるように神の御技による館でも ない。確かに、骨のような白い壁面には継ぎ目すら無く、触ると微かに温かみすら感じられる奇異 な材質だ。しかし、明らかに人工建造物と断定できる証拠を、偶然にも私は発見した。 この証拠を、より確実なものとするため、私は北のバルドニアへと旅立つことにした。 おそらく我が生涯でも最も長く危険に満ちた旅となることだろう。 残される娘のエニッドの身を案じつつ・・・ |
(J-7) |
私たちが住むクォン大陸と未知の大陸ミンダルシア。
両大陸を隔てているジュノ海峡は意外にも、とても狭いものでした。
海峡を渡ると、そこはミンダルシアの入口、ソロムグ原野。
サンドリア王国が世界を席巻した最盛期、ここには王立騎士団の城が築かれていました。
しかし、3人のタルタル魔戦士の夜襲によって、チョコボ達が混乱し、圧倒的だった筈の騎士団は無様にも敗走。次々と海峡に追い落とされました。
有名な『ソロムグの壊走』です。サンドリア士官学校でも必ず教わる、有名なこの血塗られた地から、私は測量を始めました。
でも、歴史は歴史。
過去を見つめるだけでは、何も始まりません。
私は、タルタル族やヤグード族と親しくなり、いつか両大陸の架け橋になりたいと願うのです。
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ここタロンギ大峡谷での測量は、困難を極めました。起伏に富んだ地形、過酷な気象、そしてモンスター。
しかし、何よりも私を苦しめたのは、熱病でした。
私はミンダルシア大陸に旅立つ前に、十分に経験を積んでいましたが、熱病には何の助けにもなりませんでした。そう、白魔法でさえも・・・・・・
高熱で消耗する体力を何とか温存しようと、ふらふらする足で安全な日陰を探しましたが、なかなか見つかりませんでした。そんな時、眼に入った白い物体が、表にある古龍の骨でした。近寄ってみると、そこにはこの洞穴もありました。近くに生えているサボテンの水が熱病に効くことも解り、私は病が治るまで、安全に休むことができました。
その間、私は命の恩人達に、名前をつけました。兄弟喧嘩の最中に熱波で絶命した、古くて大きな恩人ギルボ・マッジ・ナビルに感謝をこめて。
(E-5)
ここサルタバルタ平原には、小さくて可愛らしいタルタル族や天真爛漫なミスラ族の他にも、かつて文明を築き上げていた種族が存在していたことは、ほぼ間違いないようです。
例えば、タルタル族がホルトト遺跡と呼んでいる塔は、設備のサイズこそ近いように見えますが、建築様式には明らかに異なる部分が散見されます。
むしろ、父グィンハムが、最後に送ってきた手紙に同封されていたスケッチ『手のような塔』に酷似しているのです。
ただし、そこはクォン北方の地バルドニアでした。
圧倒的な距離を隔てた塔の近似性。
かつて、世界には広範囲にわたる高度な文明圏が存在していた。そして、今もこの世界に影響を及ぼし続けている。
そう考えるのは、私の穿ちすぎでしょうか?
(K-6)
ジュノ海峡をわたってから足かけ5年。
測量しつつ陸路を南下した私は、ついにミンダルシア大陸の最南端サルタバルタ平原にたどり着きました。
ここに住むタルタル族は、大魔法時代の主役としてかつて世界に覇をとなえた民族とは思えないほど、人なつこくて親切な人々でした。
彼らも女神アルタナ様を信奉しているのですが、私たちとちょっと違うのは、神子と呼ばれるアルタナ様の生まれ変わりが、大きな樹の中に住んでいらっしゃることです。
神子さまは自ら私の手をとり、話しかけられました。
その話は世界情勢にとどまらず、未来にまで及び、とてもここには書ききれませんが、それは素晴らしい体験でした。
残りの測量は、彼らが魔行船を出してくれるので、ずっと楽になりそうです。神子さまに感謝しつつ・・・
(G-9)
ここ、ブブリム半島の名物と云えば、現地のタルタル族がギブブ灯台と呼んでいて、名前の通り、実際に船乗りや漁師に利用されている、天然の奇岩群でしょう。
塔のようにそびえたつ、ねじくれた奇岩には、天辺に巨大な鉱石の結晶体がはまっていて、夜になると怪しげな光で明滅します。一体、これは何なのでしょうか?
私の仮説ではこうです。大昔、ここには硬くて軽くて純度の高い鉱石がありました。伝説のオリハルコンなのかもしれません。
長い年月を経て、周囲の岩盤は浸食されましたが、鉱石とその成分を含んだ部分は、残りました。後に、タルタル族が魔法をかけ、灯台にしました。
・・・それでも、謎は残ります。
鉱石は、何故ここにあったのでしょう?
(J-5)
ドロガロガの背骨。
タルタル語で、天龍の骨と云う意味だそうです。
クォン大陸にも、有名な『ホラの岩』を始め、このような材質でできた壁はたくさんありました。しかし、ここまで大きく露出しているのは、見たことがありません。
しかも大きく宙に浮いている箇所もあるのです。
私の故郷サンドリア王国では、教皇様の公式見解、『女神がエルヴァーン族を護るために作られた壁の跡』と云う説が、皆に信じられていましたが、そのようなものでは無いことだけは確かでしょう。
私の勝手な想像ですが、何かの道、あるいは水道管のようにも見えました。
父にこれを見せたら、さぞ感激することでしょう。
各地にある白い岩。そして背骨。点と線・・・。
父は、いったい最後に何をつかんだのでしょう。
(J-10)
クダフって、意外と話の分かる奴だな、とか思ったり(笑)
この石碑文群は、何かの意図がこれから造られるのか、それとも、ただ単に世界観を補完するだけの演出
として現れてそれで終わりなのか。これからのアップデートのために、とりあえず保存です(笑)