★まふゆ
催馬楽 笙子クリアで攻略フラグが立つ、隠しヒロイン第2号。
最後のヒロインとしては、大変インパクトのあるキャラクターだ。
冬真=まふゆという身近にいながら遠い存在のまふゆを、長いスパンで展開させる。
冬真と性別が逆だから【まふゆ=真冬】という、冗談のような名前だが、主人公はやっぱり気
が付かない。
性同一性障害という難題をあえてこういったゲームで取り上げた事には評価できる。
また、冬真や夏花の台詞も微妙な言い回しや伏線があり秀逸だ。
まふゆが現れる事が夏編では以外と少ないが、これは冬真である時間を増やし、彼の心の悩み
を描くと言う事で、まふゆを出現させずに彼女を意識させるという事に効果的に生かされている。
冬真との遠出が長いのも、これを狙っているのだろう。
母の夏花も、白いトマトの話や冬真とのケンカ等で効果的に出現してポイントを押さえた会話
をしている。
全体的には、深刻になる問題を自然にプレイヤーに受け止めさせる事に成功しているものの、
【まふゆ】という存在を主人公が恋愛対象とするには、あまりにも出会った回数が少なすぎる気
がした。
携帯ストラップを見て冬真=まふゆだと分かるのは、鈍い主人公にしてはカンが良すぎる。出
会った時間の少なさを考えると、偶然である可能性を一切排除して冬真だと思う所は性急すぎて
変だ。
冬真=まふゆと判明した後、たった一日寝た程度で好きだと言い切れる感情も少し疑問だ。
まふゆの正体が判明した後、数日まふゆか、クラブのママと会話させるなど、主人公の気持ち
を整理させる時間があってもよかった。
冬編は物凄く単調でC.B.Sすらない。これは夏に比べて非常に物足りない。
このあたり、夏の、少ないまふゆとの時間の補完を冬でしっかりと行っておくべきだっただろ
う。
冬編で、まふゆの正体が判明してからのストーリーが単調で味気ないのは、作り手が知ってしま
ってどう対応するかまでしか踏み込めておらず、このタイプの男女の付き合いに付いて、突き詰
めたストーリーの制作の方向性を考え倦ねた結果とも言えるのではないか。
冬真と長く夏編で付き合ったからといって、それはまふゆと付き合ったのではないのだ。
まふゆとして、女性として付き合うという事の苦労と決意が必要である事を、もっと主人公と
プレイヤーに気付かせて欲しかったものだ。
そう思うと、勝手にどこかに出かけるような夏花の行動は、制作者が判断をプレイヤーに投げ
て逃げたような感覚にも取られる為、少々残念ではある。
母として、普通の女性の感覚として、主人公ともっと話をさせておくべきだっただろう。