★北野スオミ

 フィンランドから現れた銀盤の妖精。
 日本語が結構怪しく、ツッコミ所満載の彼女は、性格もかなりおっとり型で、天然。
 これは、五人のメインヒロインの中で性格がだぶらないようにバランスをとった結果だろう。
 友人の前原がポイントポイントを押さえてストーリーをフォローしているため、進行や設定な
どに破たんが見られないのは良い。
 また、積極的に前原はストーリーに絡んでくる為、プレイヤーの印象に残りやすく、友人とし
て前原の評価を上げる事にも成功している。
 だが、饒舌な前原の説明に全体的に頼り過ぎている感があり、主人公自体がスオミに対して何
かをしてあげようという気持ちがあまり伝わってこない。
 デートに関しても、外国人であり傷心のはずの彼女が積極的にデートに誘ってくるなど少し進
行に疑問を感じる場面もあった。
 できれば、主人公自体が、スオミのいるフィンランドや、そこでの出来事、怪我の種類などを
調べるような積極的な行動をとるようにすれば、もう少し感情移入できるものになったのではな
いか。
 主人公のスオミに対する気持ちを夏編では結局はっきりさせないのも問題だ。
 主人公の「(なんだかよく分からないけど)信じている」という一言でスオミは自己完結して
しまい、主人公が積極的に問題に関わり、解決したという感覚が薄いのは大変惜しい。
 冬編でも、彼女の性格や行動は夏編とそう変わらずイメージが一致していて素直に入りやすい。
 選択肢によって行く場所が分かれても、そこで違うイベントが起きる為、メリハリがある。
 果鈴・冬編などが背景違いのCGのみが違いであったりする中で、ここは良い。
 まあ、行く場所が違えば、台詞やイベントは違って当然なのだが……。
 さて、スオミ編の最大の功労者は、主人公ではなく前原である。
 彼がいなければ、主人公はスオミと近付く事もできなかっただろう。
 本来なら、前原の仕事は、主人公がしなければならなかった事を考えると、画竜点睛を欠いた、
と言われてもやむを得ない。
 医学という専門的知識を要求されるものであるためにできる事には限度があるが、あまりにも
おんぶにだっこなので、主人公が少々頼り無い感じに見えてしまうのが残念だ。

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