★催馬楽 笙子

 五人のメインヒロインのクリアでフラグが立つ、隠しヒロイン1号。
 とはいえ、初プレイからラジオで声を聴ける。
 年齢が28歳と家庭用ゲームの恋愛対象キャラクターとしては相当年齢が高く、社会人など、
学生以外のプレイヤーを守備範囲に捕らえようとしたと思われる。
 他のヒロインが、ほぼ出会える場所を限定されていたのに比べ、札幌市内の各地でイベントが
起こるため、物語りの進行も偶然の出会いというものが意識できる物語に仕上がっている。
 歳の差があるため、他のヒロインと違い急激に恋愛観系になることはなく、微妙な位置で付か
ず離れずの関係が続く。
 ストーカーという身近になった問題を取り上げている事で、ヒロインへの感情移入がしやすい
作りになっており、進行も中々スピーディで良い。
  しかし、彼女と出会うためのヒントが全体的に少なすぎる。ラジオ以外にこれといった接点
がなく、ヘタをすれば、本当に偶然で終わってしまう。
  携帯占いを使えばなんとかなるが、できればそれを使わずに伏線やラジオでの台詞からヒン
トをもらえるようにした方がよかっただろう。
 サブイベントの【北辺 鶴】のヒントは少々あからさま過ぎるが、あのようなヒントはあって
もよかった。
 イベントによってラジオの内容が変わるのは良いが、攻略フラグが立つと台詞が変化するよう
にしておけば、『ラジオを聴く』という行動に理由ができるはずだ。
 主人公も、結構遅くまで彼女がラジオのDJと気が付かない。確かにラジオは声だけだが、どう
も鈍すぎる感がある。
 全体的な傾向として主人公は相当鈍いのだが、これは気付くのが遅すぎる。もう少しカンが鋭
い方が、微妙な会話の駆け引きができたのでは、と感じる。
 ラジオもただ聴くだけで判断をプレイヤーに丸投げしているので、もう少しラジオを聴いた後
に主人公の台詞を挟むなどのフォローが欲しかった所だ。
  全体的には、ストーカーがいる以外は淡白で、ストーカー事件以降は本当に単調な展開になっ
てしまう。
 だから主人公が去って何故泣くのか、そこまでの感情をいつ彼女が抱いたのかが、少々疑問で
はある。

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