【システム】

 北へ。は、ダイヤモンドダストとして、そしてプレイステーションにハードを移行させて、そ
れによって操作システムも大幅に変更された。
 前作、ホワイトイルミネーションは、コマンドがリング上で出現し、方向ボタンで各項目を選
択していた。
 今回は、メニューが左に出現し、それを選ぶようになっている。
 基本操作は扱いやすく、不便に感じる事はなかった。良好といっていいだろう。
 また、ゲーム内でシステムデータの読み込みもできるのも良い。メモリーカードが分かれてい
る場合などに使える機能だ。
 これは好みによるだろうが、できれば前作のSEやシステムはある程度残した方が良かったので
はないかと感じた。
 操作感の善し悪しではなく、「北へ。」の持つゲームの統一感を保って欲しかったのだ。
 シリーズものとして有名なファイナルファンタジー、ドラゴンクエスト。
こういったゲームが、ほぼ戦闘システムやSEを変更しないのは、シリーズものとしての統一感を
維持するためだ。
 「北へ。ダイヤモンドダスト」が、ヒロインを一新した時に、その【新しさ】をシステム面で
も出したかったのかもしれないが、これによって、前作と今作は、そのイメージがまるで変わっ
てしまい、「北へ。」としては別ゲームになってしまったように感じる。
 川原 鮎やターニャを出して、前作との繋がりを少しでも持たせたいと考えているようだが、
全体的な統一感がないために、逆にシュールな印象を与えてしまう。『何故ここでいきなり出て
くるのか』と思えてしまうのだ。無理に前作と繋げようとしている感覚すらある。
 システムの音と見え方は、ゲーム全体のイメージに大きく関わってくるため、どこかで前作の
良い所、変えなくても良かった所は残しておくべきだっただろう。

 北海道移動に関してだが、これは全くいただけない。
 移動する所が項目から選ぶようになっているのだが、この地名の順番がどのような順で並んで
いるのかが謎で、非常に移動し辛い上に、位置が確認し辛い。
 さらに、項目を選んでいる間、そこがどこにあるのかL1ボタンを押さないと分からないため、
次の移動先を確認するのがとてもやりにくい。
 さらには、観光地がほぼ全て公開されているので、【発見する楽しさ】が殆ど無い。
 観光地を隠さずに、ムービーや景色ばかり隠しにしても、意味がないと思うのだが。
 また、公開されている観光地紹介も、住所と写真が掲載しているのみで味気ない。
 取材班の一言コメントや、店主さんのコメントや写真などを少しでもいれて、観光地に行って
みたいと思わせるような、観光雑誌のような配慮を見せて欲しかった。
 それでこそ、観光地を実写で使用し、紹介している意味があるのではないだろうか。
 これに関しては、こうすれば良いのでは、と思う個人的な案を
下記に示しているので読んでみ
て欲しい。

 さて、このゲームは、ミニゲームとおまけがない。
 クリアした後の楽しみが殆どないと言っていい。
 前作は、選択肢の【達成度】があり、たくさんの選択肢を選ぶ気になれた。
 今回は達成度もなければ、クリアしても大しておまけもないので、一度クリアしてしまうと、
CGをすべて集めたいと思う人以外は、殆どリプレイ欲求がわかない。
 今回の「北へ。ダイヤモンドダスト」は、ヒロインとの会話の中で、選択肢の違いで変わる反
応を楽しむという意味合いもあるゲームだ。
 であるなら、達成度を付け、全ての選択肢を選びたくなるようなシステムを作っておいてもよ
かったはずだ。
 また、クリアした後も、余韻に浸りたいと思うのがプレイヤーの常であるにも関わらず、ミュ
ージックモードも、観光地のムービーも、ムービー式背景CGなど、何も再び見る事ができない。
 あれだけクオリティの高いムービーや、背景動画を全く見られないのは、とても残念だ。
 道の駅も、全て巡っても何のボーナスがなかったり、登録されないCGがあったりするのは、プ
レイヤーをあまり意識して作っていないのではないかと感じる事もある。
 これは、クリア後も楽しめるのが当然となりつつある現在のゲームにおいて、少々手抜きの感
がないだろうか。
 ミニゲームが全くないのは、ハドソンの意向なのか、それとも制作費か制作日が足りなかった
のかのどちらかだろうが、前作のスガイビルでミニゲームがたくさん遊べた事で、「北へ。」が
ミニゲームをたくさん楽しめるゲームだと思われていた事も確かだ。その期待を裏切った事を、
もう少し考えてみるべきだと感じる。
 制作にも時間面でせかされて、制作現場は大変だったと思うが、それでもプレイヤーをクリア
後も、余韻に浸り楽しめるようにして欲しかったと思う。
 クリアした、だけではプレイヤーを引き付ける事はできず、今のゲームには、それ以外に【ゲ
ーム内での付加価値】となる【サービス】が必要になってきている。
 それを、制作現場がどれだけ意識しているかによって、これからのゲームの評価は大きく変わ
ってくるだろう。



【システム・個人的案】

 いまさら……という感はあるのだが、どうしても操作感が良くないので、個人的にだが案を出し
てみる事にした。お暇な方はお読みください。
 あくまで個人的なものですm(__)m。

 まずは、ウィンドウで選ぶタイプの廃止。北海道マップは全域を見る事ができ、最初から公開
されている観光地は、分かりやすくボタンで表示されてるようにする。
 フリーカーソルを基本とし、マップ上を自由にカーソル移動ができて、どこでも場所を選ぶ事を
可能にする。
 車は、道路上なら、どこでも停車可能にしておく。停車中はアイドリング音。
 停車中に時間が経過するかについては保留。
 発見した観光地や地名は、マップ上に【発見!】などと表示して分かるように目立つボタンを
置くようにしておく。
 ボタンにカーソルを合わせると、まずは観光地の名前が表示される。
 観光地ボタンを押すと、観光地の説明ウィンドウが開き、移動可否項目の他に、簡単な観光地
紹介コメントや、ムービー、写真、そこで起こったイベントが鑑賞できるようにしておく。
 今どのあたりにいるのか、料金はいくらかは、小マップや地名と共に上部に表示させる。
 主人公の車は、移動先の最短距離を国道優先で自動判別、自動移動させ、曲り道にさしかかる
とD.B.Sで曲り道表示で移動決定。
 高速道路なども使えて、行き先までの再短距離に高速道路がある場合『高速道路を使いますか?』
の選択肢が出る。
 高速道路を使用した場合、実際の道路料金に沿った分の所持金がマイナスされる。
 車のスピードは低速・中速・高速で変化させることができ、高速では曲がれない場所が出てく
るが、相当高速移動が可能。D.B.S表示時間は、速度により変動。
 また停車する時は、速度によって止まるまでの距離が違ってくる。
 これにより、曲る位置によってはスピードを変化させたりと、マップ移動にメリハリを持たせ
て、飽きさせないようにする。
 移動ムービーをキャンセルした場合は、上記の道路の自動判別を利用して、即その場に移動で
きるようにする。
 気が付くと、マップには【発見!】と表示された隠しスポットがいくつも点滅し、発見の満足
感も得られる。
 観光地はボタンで表示され、行った所、行かなかった所が色分けされていれば、分かりやすく
ていいだろう。
 また各地ごとに発見した場所はウィンドウであいうえお順などで表示・検索でき、選べばカー
ソルが即時そこへ移動する。
 移動時、選択時は、L1、R1でマップを拡大・縮小できる。

大切なのは、旅を自分で行っているという感覚。
 現在のシステムは旅をするのを見せられている感覚があるので、行く場所や道の選択を、プレ
イヤーに委ねる形にすると、旅のゲームという意味合いがもっと出てくるように思う。



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