池田へ。
 和商市場で空振りだったので、釧路駅で駅弁を買い込んで
「スーパーおおぞら2号」に乗車する。荷物を置いたらお決まりの
撮影時間。エンジンの轟音に痺れながらシャッターを切っていた。
 列車の撮影を終えて席に戻ったら、窓が濡れ始めている。雨が
降ってきたらしい。「ありゃりゃ。池田は大丈夫かいな」と心配に
なる。
 その雨の中、「スーパーおおぞら2号」は釧路を発車した。構内を
出ると一気に加速する。かなり加速は鋭い。さすが最高130km/h
だけはある。
 人家もまばらな中を走りつづけて池田に到着した。ここで下車する。
行く先は「ワイン城」。1989年に訪れて以来だ。「スーパーおおぞら2号」
の発車を見送り、ちほく高原鉄道の気動車を撮影してから改札を出る。
 駅前には巨大なワイングラスをかたどった噴水が昔と変わらずにあった。
(しかし解説板が無くなっていた。)そして今回初めて見たのは
「巨大なコルク栓抜き」のオブジェだった。最近になって造られたものか、一見すると
「何だこりゃ!?」とびっくり。そして近寄ってみるとゆっくり回っている!(笑)
 「ま、回っているぞ。これ」とびっくりした。しかし回っているからといって抜ける
ことは無さそうだ。つい「これが抜けたら十勝ワインが噴水の如くザバーッと・・・」
などと妄想してしまう。(^^;)
 さて、ワイン城へ行くか。

池田ワイン城
 池田ワイン城は一度行ったことがあるので、その時の記憶を辿って
向かう。(10年以上経っているのに憶えているのも凄いが^^;)
 駅から少し歩くと橋が線路を跨いでいるのでそれを渡ればすぐワイン
城の近くだ。建物は丘の上にあるので坂を登っていくのだが、坂の袂
に地蔵様が奉られている。その隣には「天然湧出清水」が流れていた。
地蔵様が奉られているのは憶えていなかった。シャッターを切る前に
お賽銭を上げて手を合わせる。お賽銭は514円。(ニヤ)
 ここに流れている天然湧出水は飲めるのかどうか分からなかったので
口はつけなかったが、流れているのを見ているだけでも心地よい。
こういう湧水もいいものだ。(^^)
 城に入る前には物産店が並んでいたので、職場に土産を買って送る。
職場だからワインは禁止。お菓子と干しブドウにした。
 ではワイン城の中を見学しよう。城内には正面階段下にある入り口から入る。
内部の階段を上がれば工場見学コースだ。この日は赤ワインを瓶詰していた。
 また城内にはワインの歴史や数々のコンクールで受賞した実績が
展示されている。それらを一通り見てから城を出た。
 城の前は綺麗な芝生になっていて、思いっきり転げ回って遊べそうだ。
カメラを構えてファインダーを覗くと、めぐみちゃんや、フィギュア17
(北海道を舞台にしたアニメ)のつばさ&ヒカルの姿が見えた。
 普段過ごしている東京とはまったくの別世界である池田町。この静けさは落着ける。
ゆったりとした足で駅に戻りながらそう思った。
 さ。次はいよいよハイライト(?)。帯広だ。特急「スーパーおおぞら4号」で15分。

帯広〜幸福
 池田から帯広までは特急「スーパーおおぞら」で15分。普通列車でもいいんだけど、
それだと帯広駅前から発車する広尾線転換バスに
乗れないので、特急で移動することにした。
 池田で「十勝毎日新聞」という地元紙を買って車内で開く。こうした地元の新聞を買う
ことも楽しみの一つだ。

 帯広へ到着したら、まずは幸福行きバスの乗り場を確認しておく。
帯広駅前のバス乗り場はあちこちに分散していて探すのに一寸手間取ったが、
11番乗り場から出ていることを確認した。
 そしてその時、あることに気付いた。「カメラの電池、持つかな?」
というのは、今使っている電池も交換してから結構経つので、そろそろ
危ないような気がしていたのだ。今回用意してきた予備電池は・・・・
釧路のコインロッカーの中!とたんに不安がこみ上げてくる。バスが
出るまでにはまだ時間があるのでカメラ店を探したが見付からない。
長崎屋の看板が遠くに見えるけど時間が無い。
 「とにかく持たせよう」と決心してバスを待った。
 バスは十勝バスだ。乗り口では「快速バス広尾行です」と告げている。
さあ乗ろう。幸福までは50分くらいで着く。
 広尾行き快速バスは帯広駅前を発車すると長崎屋・第一市民病院など
に立ち寄って行く。市内の主だった場所で乗客を拾っていくのだ。
広尾線が廃止された後の転換バスとはいえ、ただ旧線に忠実に進むだけではなく、
市内の公共施設などに立ち寄って行くのだ。
 少し市街地を迂回するようにして進み、市街を抜けたら一面の畑が
広がった。道路に沿って延々と続いている。もともとは広尾線もこうした農産物
輸送の為に建設されたのだが、貨物輸送が廃止されたら忽ち赤字が膨張して廃止されて
しまった。そして今はバスで旅客を運んでいる。
利用率はというと、バスでも十分賄える。こうした現実を見ていると、「貨物輸送が
無くなった時点で広尾線の役目はほぼ終わっていたのだな」と痛感。ローカル線を観光路
線として活性化という私の仮想はとても成り立ちそうに無い。(続く)

幸福でのてんやわんや。
 私が乗った広尾線転換バスは、途中愛国駅跡の近くに立ち寄って
「大正」という停留所を27号まで数えて幸福に着いた。私はここで
下車し、幸福駅跡を見物する事にしていた。折り返しは11分だけだが
バスは駅跡の前に行くだろうと思っていたのだ。
 しかし、幸福停留所で運賃550円を支払って下車した途端、私の
計画は警戒信号に変わった。バス停が駅跡とあまりにも離れすぎている
のだ。看板を見ると、「幸福駅跡0.5km」とある。ざっと駅跡までの往復を見積
もっても、駅には殆ど居られない。
呆然となったが、とにかく駅まで行くことにした。駅に近づけてくれたっていいじゃないかと
恨み言も言いたくなる。時計を睨みながら幸福駅跡に到着。
当初予定していた写真を慌しく撮ったら直ちに引き返す。帰りのバスが停留所に
来るまで5分を切りつつあった。急がないと間に合わない!
 鞄を手にもって走り出す。とにかく夢中で走った。眼鏡もずり落ちそうになるが、
抑えながら走る。息が上がって立ち止まりそうになるが、
「止まるな!走れ!」という声が聞こえてまた走り出す。バスの時間が
刻々と迫ってきていた。
 そして横断歩道を渡ってバス停に着いたときは、バス到着予定時刻だった。
果たしてどうか?そう不安になったとき、「帯広駅」と表示した
バスがやってきた。ああ良かった・・・・全身の力が抜けた。
 バスは私が乗込むと直ちに発車した。私は上がった息を車内で整える。
それにしても、幸福駅跡があんなに遠い場所だとは思わなかった。
とても11分では時間が無い。今度はもっと余裕を持って来よう。
 帰りのバスはかなりの速度で走る。そして愛国へ着いたときには早着になって
いたらしい。愛国に着くと運転士は何も言わずに下車した。
「交替か?」と思っていたら何と煙草に火を点けたのだ。
 「おいおい。喫煙時間確保の為にそんなに急いだのかよ」と突っ込みたくなったが、
他の乗客は無反応。別に苦情を言うでもなく発車を待っている。唖然としたが、私も
そのまま発車を待つことにする。
 喫煙を済ませた運転士は再び乗り込むとバスを発車させた。そして
もと来た道を戻っていく。信じられない光景だった。(^^;;)
 私はカメラの電池が切れかかっていたので、長崎屋前のバス停で下車
して電池を買うことにした。予備電池を携帯していればこんなことには
ならなかったのに。自分に「この大馬鹿者!」と一喝する。
 さて。無事に電池を手に入れたし、次は市内見物に行きませう。

 

専務車掌さんの旅行日記1へ戻る。

専務車掌さんの旅行日記3へ進む。

旅行日記のメインへ戻る。