北へ。Wing Owners
12.

 春野はヤキモキしながら時を待っていた。小さな空間が、焦燥感をさらに息苦しいものに変えていく。バイクのフルフェイスヘル
メットを抱えつつ、小さな正方形の天を仰ぐ。なにかあったのだろうか…

 トン、トン…ドアがノックされた。飛び掛るようにドアを開ける。自分のヘルメットを被った男が肩で息をしていた。

 「待たせたな…急いで行ってやれ…」

 鷲頭のゼイゼイという声に頷き、春野は個室から飛び出した。パン!すれ違い様のハイタッチが心地よい音を響かせる。便所から
駆け出した春野は、裏口へと走った。

建物を出ると同時に、止めておいたバイクに跨る。一蹴りでバスーンという力強い音とともにエンジンが目覚めた。アクセルを開
く。午後の面会開始時間、それを目指して春野は疾走を開始した。

 便所では、鷲頭がジャケットの上半身に袖を通していた。赤い鈴蘭が描かれたヘルメットをきっちりと被る。スモークバイザーが
顔を隠す。さて、仕事だ。うん?鼻をひくつかせる。あいつ手は洗って無かったよな…鷲頭はハイタッチした右手を少し振ると、そ
の場を後にした。

 ステージ裏は、まだ息詰まるような熱気に包まれていた。機材に囲まれた空間に鮎と琴梨は立っていた。

 「鮎ちゃん!凄かったよ。私感動しちゃった。」

 「あ〜。そんなの後々!さっさとこれ着る。繋ぎになってるから足からね。」

 緑色のかわいいとはとても言えない服が、琴梨に押し付けられた。

 「あの鮎ちゃん…私、スカートなんだけど…」

 鮎は僅かにウン?という顔をした。機材に囲まれているとはいえ、空の下には変わりなかった。

 「ああ、じゃあともかく、足を通してみて。」

 琴梨はサンダルを脱ぐと、言われたとおり繋ぎに足を通した。瞬間、腰に鮎の手が伸びる。

 「キャ!」

 スカートを奪われ、慌てて繋ぎを持ち上げる。

 「鮎ちゃん何するのよ!」

 琴梨は顔を真っ赤にした。

 「ん?もう何にも見えないよ。大丈夫だって。さあ、直ぐに迎えの車来ちゃうんだから。」

あ、琴梨は腕を袖に通し、慌ててファスナーを上げた。

「ホイ。これ。」

頭にヘルメットが被せられる。薄暗くなった視界に鮎の顔が、覆いかぶさる。

 「これならバッチリ誰だか判らないよ。あ、迎えは由子さんだから、声は出さないでね。」

 「わかった。ありがとう鮎ちゃん…」

 ヘルメットと緑色のフライトスーツから琴梨の申し訳なさそうな声がするというのは、実に奇妙な感じだ。

 「はは、いいってこと。それにこうゆうの面白いじゃん。昔こんなのを本で読んで、双子に憧れたんだ。あれなんて本だったか
な。」

 鮎はサングラスを掛け、あらかじめ購入しておいたキャップを目深に被る。琴梨はブーツの紐と格闘しながら応えた。

 「あ、二人のロッテじゃないかな。」(注1)

 「そう!それそれ!琴梨も知ってたんだ。」

 「うん、私もあのお話大好きだよ。ルイーゼに憧れたな。」

 「あ、私も!」

 二人は顔を見合わせるとクスクスと笑った。ヘルメットとサングラスがクスクス笑うのは、ちょっと怪しげな光景であった。

(注1)二人のロッテ:ケストナーの名作童話。離婚した夫婦の双子の娘が知り合い、入れ替わるお話。ロッテは頭脳派、ルイーゼ
は行動派だったりする。鮎もルイーゼに憧れたとしている点については、鮎が読書した時代はいじめられっ子時代であったことを思
い出して頂きたい(今現在WIの話を覚えてる人がどれだけいるだろうか?)。ちなみにこの話は数作しか作られなかった非ハウス名
作劇場でアニメ化されたりもした。この数作、どれもいい出来だったと思うけどな。ケストナー知らないという人には、かなりチン
プンカンプンだ。いやそれ以前に文章がチンプンカンプンかも…そう思う人は、ここまで読んでくれないよな…



13.

 「あ、だいぶ緊張してるみたい。ひとっことも話さないんだから、適応審査の時はキャア、キャア騒いでたって聞いてるから意外
だわ。飛行時の注意事項は、私が説明しておいたから何も言わなくてOKよ。」

 鷲頭は、由子の顔を見上げつつ親指を上げた。飛んでしまえば、こちらのものだ。喋らなくて済むならもう勝ったも同然だろう。

 「鮎ちゃん、こっち!」

 振り向くと、後部シート用ステップを小さなパイロットが登ってきていた。

 「ウンショ…」

 シートに潜り込む瞬間、ほんの小さな声が漏れる。鷲頭は?と感じた。ヘルメットのせいで音の聞こえ方が変わったのだろうか。
ヨッ、という声とともに覆いかぶさるようになっていた由子が消える。お〜、下からどよめきが湧き上がった。

 「こら〜あんた達、何見てんの!これだから女の子は任せられないのよ!」

 制服姿で後席ステップに飛び移るという荒業を演じた由子が、腕を振り上げる。

 「はいはい、ベルトしめるから、ちょっときついかも知れないけど我慢してね。」

 鷲頭は、前夜の由子とのブリーフィングを思い出していた。夕刻の曳光弾射撃が、スケジュールに入っているのは驚きだった。司
令部は今回のイベントに随分と入れ込んでいるようだ。だいたい203のパイロットが、この手のフライトをやることが異例中の異例
なのだ。掩体運用(注1)される203の機体を使うわけにはいかず、201の機体を借りる手間が掛かる。各種、展示フライトが催さ
れる中、さすがに調整が厳しかったのか単独でのフライトになったがそれは今回好都合だ。

 「後席準備完了!じゃ、後よろしく!」

 振り向くと、良子がウインクしながらステップを降りていく。キャノピーを閉鎖、一瞬静寂が世界に降りた。ステップを外し終え
た整備員を見下ろし、拳を引く動作。同じ動作を整備員が返してくる。

 「エンジン、回します。」

 ゴーという音とともに、エンジンに火が入る。プリタクシーチェックを開始する。全ての項目は、フライトにゴーサインを出して
きた。親指を上げ整備員に示す。

 「DEKO(注2)チェックイン。タキシング開始!」

 イーグルがそろりそろりと動き出した。管制塔からの指示や気象条件の最終報告を受けつつ、滑走路端にイーグルを進める。最終
のチェックが開始される。

 「離陸の際は、少しGが掛かりますから顎を引いて口を閉めておいてください。」

 あまりに何も言わない後席に少し不安になりつつ、鷲頭はチェックを終えた。

 「DEKOフライト、クリアー・フォー・テイクオフ。」

 「コピー。」

 ブレーキを解除。イーグルが爆発的に加速、一瞬にして大地を離れた。ウーという小さな音と共に脚が収納され、管制塔とのやり
取りもひと段落すると、鷲頭はマイクを機内通話に切り替えた。

 「当機は、これより時速800kmで日本海に出ます。バイザーを上げて外の景色をご覧下さい…」

 鷲頭は、出来るだけ低く抑揚のない喋り方を心がけた。

 「すごーい!もう海なんだ。あ、あのお兄ちゃん…」

 歓声に続くおずおずした声に、鷲頭は操縦を乱しそうになった。あいつ、鮎にまでお兄ちゃんと呼ばれてるのか?いや、しかしこ
の声は…

 「ごめんなさい…お兄ちゃん。私、あの、琴梨です。」

 「え、琴梨さん!」

 鷲頭は驚いて後ろを振り向いた。シートが邪魔になって見えづらいが、そこにいるのは確かに琴梨に違いなかった。

 「お兄ちゃん?あの、春野和也さんですよね?」

 急いでバイザーを上げる。

 「え、鷲頭さんがどうして…」

 琴梨は目を丸くした。

 「ごめんなさい!」

 二人が声を上げたのは、ほとんど同時だった。その時、操縦桿は既に鷲頭の手を離れていたが、水平飛行に移っていた飛行機は、
何事も無いかのように平然と飛び続けていた。

(注1)掩体運用:203航空隊は敵の攻撃を想定した掩体(シェルター)から発進する。この掩体の強度は機密事項であり、一般人
が近づくことは出来ない。一方、201飛行隊は通常の格納庫からエプロンに移動し、そこから発進するエプロン運用を行っている。
このフライトでは201に所属するF-15DJ(複座)が用いられている。出発前のやりとりについては岩崎貴弘 著「最強の戦闘機パイロ
ット」(講談社刊行)およびゲーム作品「エナジー・エアフォース」(タイトー)を参考にした。

(注2)DEKO:春野 和也のTACネーム(渾名みたいなもん)。でこ、まあそういうことで。


14.

 「待たせたな。気分はどうだい。」

 「いえ…待ってませんよ。気分はいいです。」

 「え、待ってくれてなかったの。それは酷いな。」

 「酷いのですか? 申し訳ありません。日本語、やっぱり難しいです…」

 ハハハ、春野は声を立てて笑った。ベットの端に腰掛け、ターニャの顔を見る。恥ずかしげな顔は、出会った当初によく見た久し
ぶりに見る表情だった。

 「いや、ごめんごめん、ちょっとした冗談だよ。冗談は何処の国でも結構むずかしいんだよ、きっと。」

 「じょーだんなんですか?それは酷いです。来てくれたから許しちゃいますけど。」

 クスリと笑うターニャを見て、春野はうれしくなった。表現に硬いところが残っているが、ターニャの日本語は、5年で著しく上達
していた。冗談と注意したら、その冗談の意味が解かるところまで来ている。

 「元気になったら私の国のじょーだんを教えてあげますから、覚悟しておいてください。」

 「先生、それは勘弁してください。」

 春野は慌てて両手を振った。春野もターニャからロシア語を習い続けているのだが、まだ日常会話なら何とかなる程度なのだ。ま
だ冗談はきつい。

 「フフ、初めは簡単なものからです。けどロシアも寒いですから、寒さに関するじょーだんが沢山あるんですよ。」

 「あ、それなら理解できるかも。それじゃあ、手術の後は僕が頑張らなくちゃいけないね。」

 「そうですよ。」

 二人の笑い声は、廊下まで響いていた。それを聞きながら、薫は扉を開けた。

 「元気そうね。ごめんなさい、麻酔を始める時刻なの…」

 昨夜は青ざめていたターニャの顔は、西日の中で輝いて見えた。これなら大丈夫ね…

 「あ、先生、もうそんな時間なんですか?」

 ターニャは少し残念そうな顔をした。薫はターニャの白い腕に繋げられた点滴の袋に注射針を打ち込みながら応じる。

 「麻酔といっても直ぐに眠ってしまう訳では無いわ。けど、無理に起きてようとはしないでね。和也さんはもう少し居てあげ
て。」

 薫はもう一度、ターニャの顔を見た。その顔に緊張の色は、見えない。

 「じゃあ、頑張ってね。」

 「先生、よろしくお願いします。」

 薫は、二人の声に頷いた。後は、医者としてベストを尽くすのみ。ターニャの手を握り締める和也にもう一度頷くと、薫はきびす
を返した。

15

 日本の防空圏が直ぐそこに迫っていた。しかし、空には何の変化も見えない。ヴィクトルはおもむろにスロットルを押し出し、降
下した。

 「ブラック!何をしている!」

 慌てたセルゲイの無線を聞きつつ、操縦桿を一気に引き付ける。

 「セルゲイ、直ぐにスプリットS(注1)だ。お前の腕ならなんとかなる。」

 自分の声とは思えないほど冷たい声をヘルメット内に聞きつつ、ヴィクトルはGに抗い首を持ち上げた。フランカーの機首は、海面
に直角に立とうとしていた。その翼の下で、電子の眼が後上方に浮かぶセルゲイ機を捉える。フィー、僅かな電子音を聞き、ヴィク
トルは発射ボタンを押した。それは、祖国ロシアとの決別の瞬間だった。

 翼から空へとR-73ミサイルが打ち上げられる。1Gを受けつつ上昇したミサイルは、ヴィクトルの頭上へと首を廻らせる。操縦桿
を押し戻し、ヴィクトルは前方に向き直った。垂直上昇と無茶な方向転換でミサイルの燃料はあらかた使われた筈、セルゲイなら問
題無く振り切れる筈だ。セルゲイの罵倒が流れる無線を切る。

 翼が水しぶきを被る程の低空に降りる。もう既に日本の空に入った筈だが…やはり空には、何の変化も認められなかった。それで
も、もうロシアの空に戻ることは出来ない。

 「ダスヴィダーニャ…」

 ヴィクトルは新たな空を睨みつけた。

(注1)スプリットS:下方向の半宙返り。進行方向を逆転、降下による速度のアップが目的。これによりセルゲイ機は、前方からく
るミサイルに対して逃げる形になる。この機動を行うには高度とスピードコントロールが重要。セルゲイ機の高度は、簡単にこれが
出来るような高高度では無い。


16.

 「ターニャさん、今日手術だったんですか…最近、お兄ちゃんが忙しそうだったのはそのせいだったんですね。私、ちっとも知ら
なくって…」

 「大丈夫ですよ。何たって、今一緒にいるんですから。それにここのところ、あいつけっこう元気でしたよ。彼女の状態が良くな
きゃ、ああはいかないと思います。」

 「そうですよね。大丈夫ですよね。」

 鷲頭はバックミラーで琴梨を見た。横を向いて外の景色を眺めている。鷲頭は口の中がからからになるのを感じていた。ここで聞
かなければ、後悔するのは解かっていた。

 「ところで、琴梨さんは、和也に何を話すつもりだったんですか…随分思いつめてるみたいだったけど。その、自分たちなんかは
飲み屋で話しただけで、すっきりすることもあるんで…案外、俺でも役に立てるんじゃ無いかと…」

 オレンジ色の光と静寂が小さな空間を包んでいた。

 「あ…それじゃあ、鷲頭さんは、どうしてパイロットになったんですか。」

 「ああ、親父が自衛官だったんです。けど、僕がこの仕事をやろうと思ったきっかけは、カールかな…」

 「カール?ですか。」

 琴梨の首は、少し傾いているようだった。

 「小学生の頃に拾った犬の名前です。」

 鷲頭は機体を少し、ロールさせた。傾いた水平線を境に、オレンジ色の空とそれを反射して金色に輝く海がせめぎあう。琴梨のウ
ワーという感嘆の声を聞きつつ、鷲頭は昔話を始めた。

 「カールは捨て犬で、僕が山の中で見つけたんです。毎日給食の残りとか少しずつやってるうちにだんだん懐いたんですが、初め
のうちは手に穴が開いたと思うほど噛まれたりもしました…」

 「え、それでも懐いてたんですか…」

 「子供だったから、いきなり頭をなでようとしてガブリと。よく子供を脅かすとき覆いかぶさるようなポーズとるでしょ。たぶん
あれと同じなんじゃないかな、ギョッとするんでしょうね。ただ、噛んで直ぐにシマッタって顔するんですよ。これが不味かったん
です。」

 鷲頭は機体を上昇させた。

 「地元の子供にちょっかい出されてガブリ、すぐ山狩りって話になりました。僕はカールと一緒に山に逃げ込みましたけど、それ
を親父が追っかけてきたんです。」

 空がぐるりと回転する。空から海、また空へ…光がくるくると舞う。

 「親父は、僕を見つけて怒りましたよ。それにカールが飛び掛りました。いままで見たことの無いような剣幕で、親父の棒くいで
突き飛ばされても僕の前から離れなかった。」

 「やさしい子だったんですね…キャ…」

 機体を180度ロール、今度は天地が逆転する。暗くなりつつある水面に、反射する光は夜空にも負けない幻想的な輝きだった。フ
ライトプランどうりの演目に、ほんの少し回りの景色の見易さでアレンジを加えていく。うわーという歓声を聞きつつ話しを続け
る。

 「親父も随分噛まれたんだけど、逆に感心してね。それで、最後には駐屯地に犬小屋作って、そこで飼うことになりました。なん
かよく解からない話なんですけど、あの時のカールに憧れたんだと思います。戦闘機は今でもスクランブルがあるんで、カールに一
番近いかなとおもったんですよ。」

 機を水平に戻すと、奥尻島が見えてきた。赤い太陽がその僅か上に浮かんでいる。

 「鷲頭さんは子供の頃からの夢を実現したんですね…」

 「いや、後になってそういうことかって気付いたんです。その時は別に考えてなかったんですけど、そういえばあの日が原点だっ
たみたいな。うまく言えませんけど…」

 「フフ、なんとなく解かりました。どうもありがとう御座います。」

 琴梨の声は、鷲頭の言葉に満足してくれたようだった。

 「さあ、もうそろそろ奥尻島に夕日が沈むころです。」

 鷲頭は兵装パネルをチェックし、ガンの安全装置を解除した。望外の遊覧飛行も夕日と曳光射撃で終わる。千歳に機首を廻らせれ
ば、着陸までほんの僅かな時間しかない。

 「あ、鷲頭さん。あそこにも飛行機飛んでますね。前の方がすらっと伸びてて鶴みたいに綺麗です。」

 ブリーフィング情報でこの辺を飛んでいるのは、陸自のヘリか自分だけの筈だ。しかし、飛行機といえば普通固定翼機を指す…バ
ックミラーで琴梨の視線を確認し、その方向を注視する。4時方向、海面を滑るように飛ぶ機体が確かにあった。慌てつつも、なんと
か無線を切り替える。

 「こちら、DEKO!奥尻島上空にフランカーを見つけた。完全に領空内に入り込まれてる。海面すれすれの低空で、南東方向に進行
中。くそ、奥尻の連中は居眠りでもしてるのか!」

 さらに海上に目を凝らす。他に…フランカーの進路上に、小さな陰が浮かんでいる。OH-6観測ヘリ、リトルバードの愛称で呼ばれ
る小型ヘリは、突き進んでくるフランカーにまるで気付いた様子がない。危ない…

 「顎を引いて、頭をヘッドレストに密着させてください!あ、口は閉じていて!」

 右に大きく降下旋回、火器管制レーダーを入れ、国際緊急チャンネルを開く。

 「貴機は、日本国領空に侵犯している。速やかに速度を落とし、上昇せよ。繰り返す、貴機は、日本国領空に侵犯している…」

 無線に慌てたOH-6が上昇し、奥尻の方向に回避を始める。取り合えずの危機は、回避されたかのように見えた。しかし、フランカ
ーはそのままの進路、高度を維持している。火器管制レーダーがフランカーを捉えた。

 「今、国籍不明機との交信を開始した。DEKOフライトは、不明機左前方に占位せよ。な…体験搭乗中だと…」

 千歳の管制は大混乱に陥っていた。

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