『9』


「終わったか、パーシヴァル」
「こちらは全て片付きました」

 白い鎧に身を包んだ者が、もう一人の、同じような格好をした者の傍に近寄ってくる。
 ここは天水村のはずれ。そこに、白い影が複数佇んでいる。
 そして彼等の周りには、鬼や蟲の死骸が、累々と積み重なっていた。
 それらが土塊となり消えていくのを見つめながら、そのうちの一人……頬に傷のある男
が呟く。

「……数が増しているな。動き出したか」

 その言葉に、小柄な影が応える。

「一生 正臣の死という情報で、彼自身は公の機関の監視からとりあえずは逃れる事がで
 きます。おそらくは……」
「警察や公安は捲く事ができても、我らまではそうはいかん。ここは小さな村とはいえ、
 生活を営む者は多い。彼等を化け物どもの犠牲にしてなるものか」
「ガウェイン、殿下はどうされました?」
「先に帰って休んで頂いている。歪みと魔物の数が増している。という事は、奴らの計画
 も大詰め、という事だろう。大事の前の小事。このような雑魚どもなど、我らで十分。
 今は……」

 そうガウェインが言いながら視線を向けたそこには、鬼が凄まじい跳躍力で、彼の数メ
ートル上から襲いかかる所だった。
 地面に刺さっていたその剣が、ガウェインの力任せに振るわれる腕の凄まじい遠心力と
摩擦力で地面に火花を散らし、彼と辺りを朱色に明るく照らす。
 そしてそのまま、渾身の一撃で鬼を凪払う。
 胴の辺りからまっぷたつになった鬼は、土くれのように崩れながらガウェインの足元に
転がる。

「……十分に休息をとっておいて頂こう。器使いの中でも戦闘力は最高水準を誇る、我ら
 が騎士団シヴァリース。たとえ奴等が何を企んでいようとも、魔物ごときに遅れなどと
 らん。この『赤い三本剣』とナイツオブラウンドの誇りに誓って」

 ガウェインの先を見つめる瞳は、その意志を代弁するかのように輝いていた。

                   $

『世界最強』

 鬼の跋扈するこの世界においてこの称号を得たのは、シヴァリースと呼ばれる、白騎士
の集団であった。
 大きくは騎士団、傭兵団、魔術師団とに別れ、それぞれが役割をはっきりと持ち、高い
戦闘能力と組織力で、数多くの戦果をあげてきた。
 それ故に、数多くの国々が彼等を欲し、様々な国でさらに評価を上げ、シヴァリースと、
それを動かす円卓の騎士の存在は、器使いの間では、畏怖と敬意の象徴となりつつある。
 だが、そんな彼等でも、最初から全てまとまっていた訳ではない。
 この時代の日本の器使いが二つに分裂しているように、彼等もまた分裂し、互いに自己
を主張しあい、あい容れる事はなかった。
 そんな、分裂した者達を一つにまとめあげ、優秀な人材を集って円卓の騎士を中心とし
た、強力な戦闘集団を作り上げた存在がアイルランドの小さな町で生まれたのが、今から
二十三年前。
 その名を、ミハイルという。
 ミハイルはミカエルに通じ、アメリカではマイケルになる。
 天使の長のごとき強き者に……そして、正義の剣たらんことを。
 そういう親の希望が、その名には込められていた。

「な〜んて、そんな風に言われてたら、嬉しいなあ、僕」

 むふふ、と含み笑いしているのはミハイルである。
 まだ朝は早い。
 彼は、天水村の宿場街のホテルの一室をとり、そこを拠点に村を動いていた。
 昨晩に、鬼退治をすませて自らの宿に戻ったミハイルは、これからのシヴァリースの対
処などについて、各所に指示を出した。
 『神槍(グングニル)』の使用許可をとりつけ、日本のある地域に照準を合わせたのも
昨晩の事である。
 もちろん、使わないにこした事はないんだけど、と思いながらも、一抹の不安はぬぐい
去れないでいる。

「ま、考えても仕方がないよね。今は、すぐに問題に対処できるように準備をするだけす
 るだけだ。んじゃ、シャワーでも浴びてこよっと」

 るるん、と小躍りしながらユニットバスに向かうその様は、どう考えてもシヴァリース
の騎士団長とは到底思えない。
 ミハイルも、今の自分の立場を、まだ納得のいかないものとして捉えているふしがある。
 ユニットバスの鏡に、自分の姿を映してみる。
 まるでひ弱な少年のような顔が自分を見つめている。ミハイルは、それを見ながら昔を
思い出す。

『お前は所詮、酔狂で生まれた無駄だ!』
『弱いくせにでしゃばるな!』
『下賤な分際で、貴族の真似事か!』

 ミハイルに投げつけられた罵倒は、今でもミハイルの心に傷を作ったままだ。

 ミハイルが、ペンドラゴン家の血を受け継ぐ者として、屋敷に招かれたのが二十年前だ
った。
 まだ三歳だった彼に待っていたものは、兄弟、とされた者からの痛烈ないじめと、罵倒
の嵐だった。
 もちろん、彼に冷たい者達ばかりでなく、暖かく包んでくれた者達も大勢いた。だが、
それにも増して、家柄や身分を重んじる者達の言葉は、何度も彼を傷つけた。

 ケイもまた、そんな者の一人だった。
 彼は筋金入りの選民主義者である。
 身分の低い者は、高い者に付き従うの当然であり、自分は、選ばれて生まれてきた者だ
というねじ曲った自負を、幼少の頃より持ち続けて成長してきた。
 門閥というだけで、何不自由なく暮らしてきた事で、その心は醜く病んでしまっていた
のだ。
 そんな彼が、賎民と蔑み、罵倒してきた人間が自分の縄張りに入り込んできたと知って
普通でいられるはずがなかった。
 いじめやリンチを繰り返し、小さい頃よりミハイルは痣だらけになって、毎日泣いてい
た。
 父であるウーサー・ペンドラゴンは、そんなミハイルにいつも厳しく、かつ優しい視線
を送りながら言って聞かせていた。

 強くなりなさい。
 本当の強さとは、負けることを知らず打たれ弱い『敗者である勝者』からは決して生ま
れない。傷つく痛みと、傷つける痛みを知ったその時、お前はペンドラゴンの名にふさわ
しい者になれるだろう。
 弱き者だけが、真に強くなれるのだ。
 そう……お前の母のように……

 そんなミハイルが、グネヴィアと出会ったのが、十二歳の時だった。
 そのグネヴィアと呼ばれた少女は、いじめられて泣いているミハイルを見て思いきりシ
バき倒した。
 そして何が起こったか理解できずに固まるミハイルに、彼女はどなりつけた。

「……いつまでも泣いてんじゃないわよ! この弱虫!」

 ミハイルが変わり始めたのが、彼女と出会ってから数カ月の後の事だ。
 ミハイルを何かと庇い、淑女とは言い難いオープンな性格のグネヴィアは、当然と言うか
あたりまえというか、ケイ達のいじめの対象になっていった。

「豚小屋に入って、臭さがうつったみたいだ、クセー」
「うっさいわね! お金があるだけで、人間何が変わるっていうのよ!」
「俺達はな、服を着るのだって、爪を切るのだって、全部回りの人間がやってくれるんだ。
 食べ物だって、待ってれば出てくるんだぜ。大人がいっぱい俺達の言う事を聞いてくれ
 るんだ。俺達はエライんだ!」
「はあ? バッカじゃないの? そんなの仕事でやってくれてるだけじゃない。何アンタ、
 自分で何もできないの? 服着るのまで他人にやらせてるなんて。アンタみたいなやつ
 らがいるだけで、あたし凄くムカつくのよ!」
「な……なんだと!」

 少年貴族たちが、グネヴィアの言葉に怯む。

「何もできない人形みたいなアンタ達より、毎日一生懸命働いてる街の人たちの方がよっ
 ぽどカッコイイわよ! そんなにじっとしてるのが好きだったら、ショーウィンドウに
 でも飾ってもらったら!?」
「何だと! こいつ、生意気だ! 痛い目にあわせてやる! 服ひっぺがせ!」
「きゃっ! 何するのよ!!」

 ミハイルは、この時この様子を全て影で見ていた。だが、恐くてまるで助太刀に出られ
なかったのだ。
 グネヴィアは、多勢に無勢、まとめた綺麗な赤毛は掻きむしられて、おめかしした服が
破れる音がする。ミハイルは、ただ震えているしかできない。
 ……だが、そんな彼の脳裏に、以前の彼女の言葉がこだました。

(いつまで泣いてるのよ! この弱虫!!)

 ミハイルはいつの間にか影から飛び出し、大声をあげながらいじめていた少年達に掴み
かかった。
 驚いた少年達に、ミハイルは泣きながら殴り続ける。

「お前! 生意気だぞ!」

 リーダー格のケイが、ミハイルに殴りかかろうとした時、先にミハイルが滅茶苦茶に振
り回した拳が見事に彼の顔面にヒットし、ケイは鼻血と涙と涎を捲き散らして、白目をむ
いて地面に転がった。
 それからは、全員入り乱れての乱闘騒ぎになり、ミハイルもグネヴィアも、泥だらけに
なりながら、暴れ続けた。
 殴られても鼻水と涙で顔をぐちゃぐちゃにしてもまるで引かないミハイルに動揺し、少
年達は、ひとり、またひとりと逃げ出していった。
 ……そして、後には、服も体もボロボロになったひと組の小さな少年少女が残された。
 グネヴィアは、ミハイルの顔の泥を払いながら、微笑んで言った。

「……カッコ悪い」
「……君だって泥だらけだよ」

 後は、二人して大声で笑った。
 ぼろぼろの姿で思いきり笑って、そして、二人の回りが少しずつ変わり始めていった。
 ミハイルとグネヴィアの二人は、歳が近いという事もあったのか、打ち解けて仲良くな
ってからは、よく一緒に遊ぶようになった。
 お互いに、相手の詳しい素性などは分からなかったが、そんな事は、泥だらけ埃だらけ
で遊ぶ二人には、必要ないものだった。
 いずれ同じ道をこの二人が歩む事になるなど、全く思いもよらずに……。

                   $

「……カッコ悪い……か……確かに」

 シャワーの間、昔の事を思い出して、少しミハイルは自嘲ぎみに笑った。
 鬼が出現したのは、彼のそんな思い出の時から、五年後、彼が十七歳になった時であっ
た。
 彼はこの時、自警団の一員として、戦列に加わり彼は鬼退治に向かっていた。
 この時代【騎士】というのは存在していなかった。代わりにこの時代の貴族を護る『自
警団』があった。無論、剣などで戦ったりはしない。
 それが、鬼を倒す剣士達の集まり……騎士へと生まれ変わるのが、ミハイルが、アーサ
ーの名を冠する、十八歳の時である。
 そんな彼等の前に現れたのは、悪魔のような黒い体と角を持った、おぞましい姿の化け
物だった。
 近代兵器を全て無効化され、多くの命を犠牲にして、ミハイルは大怪我をしながらも生
き延びて帰還してきた。
 この時の、後に日本で『鬼』と呼ばれる存在の表情は、ミハイルにとって忘れられない
ものとなった。
 まだこの当時、器の存在ははっきりと確認されておらず、人々は歪みから現れた悪魔の
存在に怯えて暮らすしかなかったのだ。
 それから後も、英国周辺地域は幾度となく悪魔の群れに荒された。
 そしてその悪魔達は、自分の周りを武器を片手にうろうろする『餌』にいらつき、ペン
ドラゴン家そのものに襲いかかってきた。
 そしてミハイルは、この時に初めて、『器』を目にする事となる。
 悪魔達は、ペンドラゴン家の広い庭を囲む塀を、まるで紙でも破るかのようにいとも簡
単に叩き潰すと、そこに待ち受けた自警団の者に嬉々として襲いかかった。
 たくさんの悲鳴と銃火器の音、奇妙な咀嚼音を聞きながら、ミハイルは、それでも父や
家族の部屋の前で、自分の部下達を叱咤激励しながら、必死で恐怖に耐え抜いていた。
 そんなミハイルの部下の一人が、ガラス窓から外を覗いて悲鳴をあげた。
 緑の芝生がまぶしかったその庭は、まさに、海と称するにふさわしい大量の血で染め上
げられていた。
 ミハイルは、死ぬ思いで嘔吐感に耐えながら、邸宅のロビーで陣取る。
 家族の部屋は、ミハイルのいる方向を除いては全て厚く固い鋼で覆われており、ミハイ
ルは唯一の扉を守る最後の砦であった。
 まるで血に酔ったかのように芝生をうろつき回っていた悪魔だが、餌の匂いを敏感に嗅
ぎとったか、ミハイル達の邸宅へと向かってくる。
 それと同時に、銃火器を構える金属音が辺りにこだまし、そこに悪魔のうなり声が重な
る。
そして、悪魔が、彼等のいる邸宅の隅に現われた時『地獄が始まった』。

 ペンドラゴン家の者達は、全て奥の一室に押し込められていた。
 そこは、ミハイル達が戦っている所から離れてはいたが、それでも振動と悲鳴は聞こえ
てきた。
 ミハイルの父ウーサーは、その部屋で、家族と共に微動だにせずに入り口を見つめてい
た。
 その側にいた小さな女の子が、怯えて側にいた女性にしがみつく。

「おねえちゃん……」
「大丈夫よ……大丈夫……」

 しがみつかれた女性が、優しく抱き締める。
 その間にも、ミハイルが指揮する隊はひとり、またひとりと戦力を減らしていっていく。

「隊長! もう戦列がもちません!」
「弾が……弾が全てはじかれる……」
「目だ! 目を狙え!!」
「だ……駄目です! ちくしょう! あんな図体で、なんて速さだ!」
「そんな……グレネードランチャーもレールガンも効かないのか!?」
「仕方が無い……くそっ! この場を撤退する! 急げ!」
「最終ラインまで下がるぞ!! ……そこが……最後の砦だ!」
『ミハイル、聞こえるか』
「……父さん!」

 ミハイルの頭に装着された通信機に、父から連絡が入る。

『これから、私達は地下へと向かう。お前達も来るんだ』
「……地下?」
『……まさか、こんなに早く《奴》がここを嗅ぎ付けるとはな……地下への入り口は私達
 のいる部屋の奥から行ける。ミハイル、早く来るんだ』
「……奴?」

 ミハイルは父の言葉に少し疑問を感じながらも、少しずつ部下と共に戦列を維持しつつ
後退していった。

「お父様……この階段の先に……何があるの? ……逃げてるだけじゃないんでしょ?」

 ウーサーは、同じ部屋にいた二人の少女と共に、部屋の壁から現れた地下への階段を降
りていく。
 そのウーサーに、姉と呼ばれた方の少女が語りかける。

「お前も気がついていたのか、モリガン」
「なに……これ……変な感じ……」
「お前達二人にも…《魔女》が開化し始めているのだな……」
「《魔女》?」
「歪みによってもたらされたものは、何も魔物だけではない……。ウィルスによって進化
 した生物のように…我々の体も、歪みの向こうから、様々な影響を受けているのだ。そ
 して……ヒトが……変わり始めている」
「……何を言ってるの?」
「……今に分かる……今に」

 父ウーサーとモリガン、そして、彼女とミハイルのいとこにあたるヴィヴィアンの三人
は、連れ立って地下への階段をかけ降りていく。
 その頭上では、大きな振動とリズミカルな銃声、そして悲鳴が聞こえてくる。

「ミハイル……大丈夫……よね……」

 姉であるモリガンは、心配そうに、ちらりと後ろを振り返ると、すぐに顔を前に向けて、
いとこをかばいながら地下の闇を進んでいった。

 この時、義理の兄であるケイは、邸宅の塀の外側で、邸宅を守護する役目についていた。
 だが、今の彼等には、その役目を果たす事はできなかった。
 暴風のように通りすぎた魔物の群れに翻弄され、多くの犠牲を伴いながら、彼等はやっ
との思いで撤退してきたのだ。
 ケイはこの時、自分の身分を利用して「器使い」について、少しなりとも学んではいた。
自分に、その力が開化し始めている事も。
 その力で仲間を盾にして、魔物から自分だけを守りながら、命からがら逃げ出してきた
のだ。

「……こ……この私ともあろう者が……このような事は……屈辱だ! ミハイルめ……今
 ごろは、邸宅で応戦中か……。ちっ、いっそこのまま、父を守って死ねばよいものを」

 『いいおとな』になっても、失敗より何も学ばない者は、所詮他を許す寛容な大きな心
を持つ事などできない。
 ケイは、今だに少年の頃の、幼稚な選民思想を抱き続けているのだ。

「私こそ、これからまだ生きなければいかんのだ。あんなインチキ野郎と違って……」

 そこまで言った時、ケイは顔を恐怖に歪ませて腰を抜かした。
 目の前に、黒いスーツに身を包んだ一人の紳士が、冷たい目でケイを見下ろしていたか
らだ。

「失礼、こちらはペンドラゴン公爵閣下のご邸宅かな?」
「……ひっ! ……お……お前は誰だ!!」

 無様に腰と膝を笑わせているケイを見、黒服の紳士は、哀れみにも似た笑みを浮かべて
言う。

「……ふーむ、『偽物』か。……無様すぎる。世界に散らばる『彼等』ではなさそうだ。
 『剣によりて正す者』、『セフィロートを登る者』。……そう、我々の障害となる、『高
 次元波動』……そして、『それ』を扱う者達……。神の力を使うには、ヒトは小さすぎ
 る。ふさわしくないものを、ヒトは持つべきではないのだ」

 ケイには、何を言っているのか、全く分からない。
 動揺するケイを無視するかのように、黒服の男は、邸宅内に歩き始めた。
 その視線の先には、ミハイルの闘っている戦場、そして、地下への階段がある。
 と、そこに装甲兵士輸送車と装甲車が現われ、ばらばらと戦闘員が紳士の目前に散らば
る。

「何者だ! 止まれ!」

 そう言って銃火器を隙なく構える。
 その者達に向かい、紳士は右手をゆっくりと差し出して見せる。
 すると、そこから突風が吹いたかと思うと、銃を構えた戦闘員が、一度に十人近く肉片
となって吹き飛んだ。

「我が『槍』の唇先……、君達には見えまい?」

 そして、装甲車に手をかざす。
 それを確認した装甲車から、遠慮なく20ミリ砲が発射される。
 それは、確実に男を捉え、男は爆発の衝撃に巻き込まれた……はずだった。
 しかし、まるで哀れみにも似た表情で笑みをもらしながら、無傷で爆煙の中から現われ
た。

「ヒトという存在は……なんと愚かなるものか」

 再び腕を前にかざした時、装甲車が、中と辺りの人間を巻き込んで爆発した。

「『分』をわきまえよ。私は魔軍の司令官にして侯爵なり」

 地下の一室への入り口に近付いたその時、ウーサーは何かを感じて、目を見開いて振り
返った。

「……来たか……。アエーシュマ・ディーヴァ。アスモデウス!!」


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